- 著者
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廣瀬 知二
- 出版者
- 公益社団法人 日本補綴歯科学会
- 雑誌
- 日本補綴歯科学会誌 = Annals of Japan Prosthodontic Society (ISSN:18834426)
- 巻号頁・発行日
- vol.5, no.3, pp.272-280, 2013-07-10
- 参考文献数
- 50
- 被引用文献数
-
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<b>目的:</b>素材の異なる各種市販ノンクラスプデンチャー材料の特徴を,曲げ特性の面から明らかにする.<br><b>方法:</b>ノンクラスプデンチャー材料(ポリアミド系樹脂:ルシトーンFRS,ポリカーボネート系樹脂:レイニング樹脂,ポリエステル系樹脂:エステショット,アクリル系樹脂:アクリトーン),加熱重合型アクリル樹脂(アクロン)を対象に,成形したままの試験片(乾燥)と30日間水中浸漬試験片(浸漬)の3点曲げ試験を行った.応力-ひずみ曲線を作成し,曲げ強さ,曲げ弾性係数,0.05% 耐力を算出した.得られたデータについて各材料の比較,材料ごとの乾燥と浸漬の比較を行った.<br><b>結果:</b>応力-ひずみ曲線は,アクロンが脆性材料の特徴を示すのに対し,ノンクラスプデンチャー材料はいずれも靱性材料の特徴を示した.曲げ強さはレイニング樹脂を除き,アクロンに比べ有意に小さい値を示した.曲げ弾性係数はいずれのノンクラスプデンチャー材料も,アクロンに比較して有意に小さい値を示した.0.05% 耐力はエステショットが他のノンクラスプデンチャー材料に比較して有意に大きい値を示した.アクリトーンの曲げ強さ,曲げ弾性係数,0.05% 耐力は浸漬が乾燥に比べ有意に小さい値を示した.<br><b>結論:</b>各材料の曲げ特性は素材となる樹脂の性質に基づくことが示唆された.ノンクラスプデンチャーの症例選択,義歯設計には材料の基礎的物性を把握した上での十分な配慮が必要である.