著者
若井 俊文 坂田 純 三浦 宏平 堅田 朋大 廣瀬 雄己 滝沢 一泰
出版者
一般社団法人 日本胆道学会
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.54-59, 2019-03-25 (Released:2019-04-08)
参考文献数
30
被引用文献数
1

十二指腸乳頭部癌は膵頭十二指腸切除術が標準的治療であり,胆道癌の中で最もR0切除率が高く,治療成績は比較的良好である.粘膜内に留まりOddi筋に達しない癌はリンパ節転移をきたす可能性が非常に低く,理論的には局所的乳頭部切除術が適応可能である.しかし,術前画像診断では癌がOddi筋に達するか否かを正確に診断することは困難であり,基本的には十二指腸乳頭部癌に対しては縮小手術を適応するべきではない.生検で腺腫と診断された場合も局所的乳頭部切除術が適応可能だが,深部に癌を認める可能性もあり,術後の病理学的検索が必須である.膵浸潤は十二指腸乳頭部癌の重要な予後因子であり,癌が膵実質におよぶと神経(周囲)浸潤を高率に認め,浸潤性膵管癌と同様の生物学的悪性度を有するようになる.リンパ節転移も強力な予後因子であり,リンパ節転移個数(0個,1~3個,≥ 4個)は本疾患の予後を良好に層別化する.