- 著者
-
庄司 順三
廣野 里美
宮腰 正純
村山 哲也
- 出版者
- 昭和大学
- 雑誌
- 一般研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 1991
日本に自生するハリブキ(Oplopanax japonicus N_<AKAI>=Echinopanax japonicus N_<AKAI>)と中国産刺人参(Oplopanax elatus N_<AKAI>=Echinopanax elatum N_<AKAI>)はともにウコギ科(Araliaceae)植物であり、刺人参は解熱、鎮咳作用を有するとされ、中国の文献では薬用人参と作用が近似していることが記載されている。今回の研究では両者の成分を化学的に比較し、両植物の医薬品としての新たな応用・開発をはかることを目的として行った。日本産ハリブキ葉からは既知成分のフラボノイド配糖体2種、トリテルペン配糖体1種を単離・同定した。更に3種の新規トリテルペン配糖体を単離し構造を決定した。中国産刺人参葉を日本産ハリブキ葉同様に分離し構造決定を行ったところ、両者に共通する2種の既知フラボノイド配糖体、1種のトリテルペン配糖体を単離・同定したほか、新規トリテルペン配糖体8種を分離しその化学構造を決定した。さらに日本産ハリブキの葉以外の部分について検討を進めているが、根皮より2種の既知化合物を単離・同定するとともにダイイン化合物1種と、これとアグリコン部の構造が異なるダイイン化合物の配糖体1種を単離し化学構造を決定した。中国産の試料については入手が限定されているが、日本産ハリブキについては10種の化合物を単離し、5種類が新規化合物であるので、今後、十分な量を確保し生物活性を検討することにより本研究の目的が達成されるものと思われる。