著者
延原 稚枝 名川 勝
出版者
障害科学学会
雑誌
障害科学研究 (ISSN:18815812)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.103-116, 2021-03-31 (Released:2021-09-30)
参考文献数
13

本研究は、指定特定相談支援事業所と当該事業所に勤務する相談支援専門員を対象とした質問紙調査により、知的障害者のカップル生活及び子育ての実態把握、並びに知的障害のある母親 (以下母親) の生活実態、子育てにおけるソーシャル・ネットワークとそこから得ているソーシャル・サポートを明らかにすることを目的としている。本稿は、カップル生活と子育て、母親の生活実態とそのソーシャル・ネットワークに焦点化して報告する。調査結果から、サービス等利用計画を作成している知的障害者のうち、カップル生活、子育てといったライフイベント経験者は極めて限定的である実態が伺えた。子育てをする母親の多くは成人になるまで障害福祉サービスを利用することなく知的障害のない男性と結婚し、子育てをしていた。そのインフォーマルなネットワークには脆弱性が見られたが、自ら出向く、申請を要するフォーマルな子育て支援サービス利用も限定的であった。