- 著者
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田山 二朗
弓削 忠
二藤 隆春
木村 美和子
- 出版者
- The Japan Society of Logopedics and Phoniatrics
- 雑誌
- 音声言語医学 (ISSN:00302813)
- 巻号頁・発行日
- vol.48, no.2, pp.158-162, 2007-04-20 (Released:2010-06-22)
- 参考文献数
- 7
- 被引用文献数
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アテロコラーゲンは, 異種タンパクであるためアレルギー反応等のおそれや, 吸収率が高いことから複数回の注入が必要になるなどの短所があるが, 注入手技が多彩で簡便であるため使用しやすく, 全身状態の低下した症例, 全身麻酔不能例や外来治療を希望する例に対する局所麻酔下日帰り内視鏡手術に適している.咽喉頭の麻酔が十分なされていれば, ほとんどの症例において本手技が施行可能である.手術効果は声帯の状態によって異なる.主に筋層に萎縮が見られる声帯麻痺例 (特に正中固定例) については, 筋層のvolume増加が得られるために音声改善効果が高くなる.声帯溝症では振動部位である粘膜の病変が主であるため, 術後声帯のvolume増大により発声時の声門閉鎖不全が改善されたとしても, 音質の改善に関しては不十分となる.なお, 吸収率が高いため安定した効果を得るには3~4回の注入が必要である.合併症としては, 術時の局所麻酔中毒や喉頭痙攣, 術後の嚥下性肺炎や喉頭浮腫, 粘膜層への注入による声帯振動障害などが挙げられる.われわれの音声外来では, 高齢者の声帯萎縮性病変が増加しており, 声帯内注入術はこれらに対して十分活用できる音声外科的治療法としてもっと普及してよい術式である.そのためには, 声帯内注入術や注入材料に対する正しい理解と, 安全, 簡便かっ安定した, さらに粘膜内注入にも適した注入材料の開発が望まれている.