著者
亀井 文 弓座 成美
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.64, 2012

[目的] 胃や小腸で消化吸収されることなく大腸にまで到達するデンプン、レジスタントスターチ(RS)は食物繊維同様に腸内細菌の発酵基質として利用され、そこで産生された短鎖脂肪酸は大腸の健康に重要な役割を果たしている。しかし、でんぷん性食品のRS量が、調理によってどのように変化するのかを調べた研究はあまり多くない。前回は米の炊飯時の加水量の増減に対してRS量には変化がなく、加水量の異なる炊き立て飯とRS量との間に関係性は見られなかったことを報告した。今回は炊飯時の加熱温度上昇の違いによる炊き立て飯とRS量について実験を行った。<br>[方法] 本実験は平成23年新潟県魚沼産コシヒカリを用いた。加熱条件は鍋を用いて100℃まですぐに上昇させて高温を維持する標準的な炊飯(A)、100℃まで一定に近い温度上昇変化での炊飯(B)、低温を長時間維持する炊飯(C)、炊飯器炊飯(日立RZ-DM3)(D)、電子レンジ炊飯(E)の5条件で行った。炊き上がり後、飯を均一化し、バットに広げて荒熱を取った後脱水操作を行い、炊き立て飯としてRS量を測定した。RS量測定はRS測定キット(メガザイム社)を用いて行った。<br>[結果] 条件CのRS量は0.34%であり他の条件と比べて有意に低い値であった。条件DのRS量は0.57%であり、条件A(0.45%)、B(0.45%)と比べて有意に高い値であった。この結果より、温度上昇変化およびそれに伴う炊飯時間の違いがRS量増加に関与していることが示唆された。