著者
久保田 貴之 張 羽 漁田 俊子 漁田 武雄
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.42-42, 2015

聴覚情報に関するこれまでの環境的文脈依存効果研究において,日常場面で発生する環境音文脈は,その対象として扱われていなかった。そこで,本研究は,環境音文脈依存効果の特性を明らかにすることを目的とし,手がかり負荷(負荷1,負荷12)を操作し,文脈依存効果の生起を調べた。実験では,まず,24項目の単語を1つずつ5秒間の環境音とともに提示し,偶発学習させた。その後,学習時に用いた環境音の半数を用いて再生テストを行った。環境音は,負荷1条件においてランダム提示,負荷12条件においてブロック提示とした。実験の結果,負荷12条件のみ,文脈依存効果が生じた。この結果は,手がかり負荷が大きい場合に環境音が文脈手がかりとなり,小さい場合に手がかりとならないことを意味する。このような結果が生じた理由としては,(a)環境音文脈の手がかりとしての弱さ,(b)グローバル文脈としての機能の喪失の2つの可能性がある。