著者
大城 昌平 穐山 富太郎 後藤 ヨシ子 草野 美根子 横山 茂樹
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.19, no.5, pp.452-456, 1992-08-01

正常発達を遂げた成熟児を対照に, 重篤な合併症がなく正常発達の見込まれたAFD児, SFD児についてブラゼルトン新生児行動評価を用いて新生児行動の発達評価を行い, 加えて, ベイリー乳幼児発達検査による6ヵ月, 12ヵ月時の精神・運動発達について追跡調査を行った。その結果, SFD児では成熟児やAFD児に比べ新生児期の行動発達及び, 6ヵ月・12ヵ月時の精神・運動発達に遅滞傾向が認められた。SFD児は, より未成熟な要因に加え, 外環境からの刺激に対し, 意識状態の調整や注意集中, 運動調整系のストレス徴候を示しやすく, 環境との適応障害を起こしやすいものと考えられた。また, 結果的に乳児期の精神・運動発達にも影響を及ぼすものと考えられた。
著者
大城 昌平 穐山 富太郎 後藤 ヨシ子 横山 茂樹 鋤崎 利貴
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.23, no.6, pp.355-358, 1996-09-30

本論文は低出生体重児77名を対象として,在胎週数に換算して(修正)44週時のブラゼルトン新生児行動評価(NBAS)とベイリー乳幼児精神運動発達検査(BSID)による修正12カ月時の精神運動発達との関連について統計学的に検討し,NBASが低出生体重児の早期介入及び療育の適応決定に有効であるかどうか考察した。NBASの8つのクラスター(漸減反応,方位反応,運動,状態の幅,状態調整,自律神経系の安定性,誘発反応,補足項目)と12カ月時の精神運動発達指数との関連を単相関分析により概観した結果,自律神経系の安定性クラスターを除いた他のクラスターと精神運動発達指数は有意な相関を示した。12カ月時の精神運動発達指数を目的変数,NBASの各行動クラスターを説明変数とした重回帰分析の結果,高い相関が認められ,精神運動発達指数はNBASから約60%の精度で説明することができるという結果であった。また,標準偏回帰係数を算出した結果,運動,状態の幅,誘発反応の各クラスターが統計的に有意に影響を及ぼす因子であった。これらのことから,修正44週時のNBAS評価は初期乳児期の精神運動発達を予測するうえで有用であり,早期介入及び療育の適応決定において有益であると考えられた。