著者
後藤 和夫 中西 勇
出版者
日本植物病理学会
雑誌
日本植物病理学会報 (ISSN:00319473)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.117-120, 1951
被引用文献数
7

麥畑に穗が出揃ふ頃, 緑一色の内に火に焙られたような淡褐色の穗が散生する病氣が昭和20年頃から奈良縣下に注目せられ, 桑原技師から細菌病ではないかと標本と共に提示せられた。この病氣は輕い時には全面に點々と出るが, ひどい時は二, 三坪位の激甚な小集團が麥畑のあちこちにできて, その部分では全穗の1/3位が穗燒になると云う程であつて麥作上からも看過し難い。著者等は昭和22年から餘暇を以て研究に着手し漸く一部の成績が得られたので取纒め報告する。この研究に當り農林省農業技術研究所向技官には種々御指導を賜つた。三重大學農學部岩田教授には多大の御援助を寄せられた。又大阪府立農事試驗場の桑原技師(當時奈良農試)には病材料等につき御骨折頂いた。記して各位に感謝の意を表する。