著者
岡本 五郎 後藤 新太郎
出版者
岡山大學農學部
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
vol.94, pp.9-13, 2005-02

岡山県新庄村で栽培されているサルナシ果実の健康食品としての評価を行うために、同地区のサルナシ園で生産された3品種(光香、峰香、在来種)の果実、及び近隣の山地で収穫された野生サルナシ果実の成分分析を行った。参考として、岡山市内のマーケットで購入された輸入のキウイフルーツ(ヘイワード)、レモン(品種不明)、及び国産のリンゴ(ふじ)の成分も調査した。サルナシ栽培品種では、収穫適期でも硬熟状態のものと軟熟状態のものが混在し、さらに普通の果実の半分程度の小果実(すべて軟熟)も混在した。果汁のビタミンC含量は、峰香の硬熟果と光香の小果で220-260mg/100mLと非常に高い値を示した。市販のキウイフルーツのビタミンC含量は約100mg、レモンで50mg、リンゴは4mg/100mL程度であった。サルナシ果汁の全ポリフェノール含量とラジカル消去能はキウイフルーツと大差がなかったが、リンゴに比べれば有意に高かった。サルナシはキナ酸含量が最も高く、無機成分のN、Ca、Mg、Mn含量が高かったが、糖含量は低かった。本分析結果から、サルナシ果実はビタミンとポリフェノールが豊富で、現代人の食事で不足しがちなミネラルも多いことから、健康食品として評価されうる。