著者
後藤 謙太郎 増田 靖
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会誌 (ISSN:09187324)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.151-166, 2021-12-15 (Released:2021-12-24)
参考文献数
46

本稿の目的は,会社αの研究所で27年間にわたって開発され,製品化に至った製品Xの開発プロセスの中で生成された実践知の生成・変容・継承過程を,製品系譜学を用いた調査により明らかにすることである.そのため,調査方法として,実務者が研究者となり,自身の実務現場を調査する,創発的ビジネスフィールドリサーチを採用した.また実践共同体とバウンダリー・オブジェクトの概念を用いて分析を行った.その結果,企業研究所の組織実践における実践知の生成・変容・継承過程を明らかにし,社内に継承された実践知と,実践に埋もれ形式知化できるがされてこなかった実践知との質的な違いを見出した.