著者
後藤 靖宏
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.142-142, 2009

ある楽器の演奏者が音楽を聴取する際,自身が演奏や訓練において長期間たずさわってきた楽器の音色を自発的に選択的聴取しているのかを実験的に検証した.ホルン奏者,ホルン以外の楽器奏者および楽器非経験者に対し,トランペット,ホルンおよびテューバで構成される金管楽器3重奏の旋律と,その旋律を音色ごとに変化させた旋律とを用いて再認課題を課し,3者の成績を比較した.その結果,ホルン奏者のみがホルンの旋律を変化させた課題の正答率が最も高かった.旋律聴取に際して特定の音色への注意喚起などをしなかったことを考えると,今回の結果は,楽器の演奏者が,自身が演奏している楽器の音に対して自発的に選択的聴取をしている可能性を示していると考えられる.