著者
得丸 智子
出版者
学校法人 開智学園 開智国際大学
雑誌
開智国際大学紀要 (ISSN:24334618)
巻号頁・発行日
vol.18, pp.37-56, 2019 (Released:2019-04-15)

近年、教育機関に依らず独力で日本語を学ぶ独習者が増えている。本研究では、独習者の学習法と学習観を探ることを目的とし、ある韓国人日本語学習者にインタビューをおこない、質的研究法TAE(Thinking At the Edge)で分析した。 彼は、中学時代の3年間に、インターネットで日本語アニメを視聴することを通じ日本語を学んだ独習者である。アニメをみながら韓国語で音を拾い辞書を引き日本語の意味を調べるという方法で日本語を学んだ。この経験から、外国語学習は多く聞くことが大切だとの学習観を持っている。大学生になり日本留学を果たしてからは、周囲で話されている日本語の音を拾い辞書を引く学習法を実践している。辞書が引けない状況の場合は、自宅に帰ってすぐに調べることが習慣となっている。彼は、日本語学習は何かのためにおこなうものではないという学習観をもっていた。本研究により、従来の教室での学習とは異な流学習法、学習観が浮き彫りになった。
著者
得丸 智子 清水 順子 吉田 美登利 渡邉 泰久
出版者
学校法人 開智学園 開智国際大学
雑誌
開智国際大学紀要 (ISSN:24334618)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.35-49, 2021 (Released:2021-03-15)

本研究では、教師が連携し大学の授業を通じて学生を参加させるインターネット上の作文掲示板「さくぶん.org」(さくぶんおーあーるじー)において、担当教師が授業の中で「さくぶん.org」をどのように活用したかを探った。その結果、「さくぶん.org」には、「心理的交流を実感する場」としての側面の他に、「生の言語資料を展示する場」の側面があることが明確になった。第二の側面はインターネット利用により可能となったものである。授業では主に、この側面が、アカデミック日本語の能力獲得、日本語日本文化に関する知識の獲得等の科目の目的達成のために活用されていた。活用法には、(1)言語文化的側面に着目するもの、(2)文章の書き方に着目するものがあり、それぞれについて①多様な現実を知らせる活用法と②典型例を紹介する活用法があった。インターネット上の「さくぶん.org」の「多様性・真正性」は、教室で展開する学生と教師の対面関係に支えられ保証されることも明確になった。