著者
清水 順子 小林 浩明
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.7, pp.15-22, 2009-03

日本語教師の養成や教育に携わる中で、日本語教師をやめていく人を見ることは少なくない。本研究では、一人の元日本語教師の事例に注目し、なぜやめるに至ったのか、そしてやめたことをどのように捉えているのかを理解することを目的とした。インタビューを行い、M-GTA の分析方法を用いて構造化を行った結果、やめるに至るには、単にやめたいと思ったからではなく、その時の状況で仕事への復帰が先延ばしになった結果だとわかった。また、外側から見ると完全にやめてしまったようにみえた人が、実はいずれは仕事復帰したいと希望していることもうかがえた。
著者
赤木 博文 小坂 道也 福島 邦博 土井 彰 笹木 牧 小川 晃弘 西崎 和則 増田 游 松田 充浩 四方 賢一 槇野 博史 清水 順子 杉山 信義
出版者
日本口腔・咽頭科学会
雑誌
口腔・咽頭科 (ISSN:09175105)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.253-260, 1997-02-28 (Released:2010-06-28)
参考文献数
26
被引用文献数
3

口蓋扁桃摘出術を施行し, 6ヵ月以上経過観察できたIgA腎症47例を対象に, 治療成績と予後予測因子を検討し, 次の結果をえた.1. 扁摘後の最終観察時点での寛解率は, 尿蛋白61.7%, 尿潜血44.7%で, 尿蛋白・尿潜血ともに, 観察期間が長いほど低下傾向にあった.2. 腎病理組織所見の軽症例は, 重症例よりも尿蛋白の寛解率が高かった.3. 扁桃誘発試験陽1生例は, 陰性例よりも尿蛋白の寛解率が低かった.4. IgA腎症の発症年齢, IgA腎症発症から扁摘までの期間, Ccrは, 尿蛋白寛解例と非寛解例の間で有意差を認めなかった.
著者
得丸 智子 清水 順子 吉田 美登利 渡邉 泰久
出版者
学校法人 開智学園 開智国際大学
雑誌
開智国際大学紀要 (ISSN:24334618)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.35-49, 2021 (Released:2021-03-15)

本研究では、教師が連携し大学の授業を通じて学生を参加させるインターネット上の作文掲示板「さくぶん.org」(さくぶんおーあーるじー)において、担当教師が授業の中で「さくぶん.org」をどのように活用したかを探った。その結果、「さくぶん.org」には、「心理的交流を実感する場」としての側面の他に、「生の言語資料を展示する場」の側面があることが明確になった。第二の側面はインターネット利用により可能となったものである。授業では主に、この側面が、アカデミック日本語の能力獲得、日本語日本文化に関する知識の獲得等の科目の目的達成のために活用されていた。活用法には、(1)言語文化的側面に着目するもの、(2)文章の書き方に着目するものがあり、それぞれについて①多様な現実を知らせる活用法と②典型例を紹介する活用法があった。インターネット上の「さくぶん.org」の「多様性・真正性」は、教室で展開する学生と教師の対面関係に支えられ保証されることも明確になった。
著者
清水 順子
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.17, pp.59-72, 2019-03

本稿は、日本語学校における非常勤日本語教師が抱く葛藤をTAEで分析したものである。グループインタビューからTAEのステップをすすめ、「教室での効力感を抱くが、現実との交渉では本音でつながることができず、不安によって委縮している」という結果が得られた。結果の考察からは、非常勤講師の雇用形態や同僚性を気付きにくい職場、制度上の問題が浮かび上がってきた。
著者
清水 順子 小林 浩明
出版者
北九州市立大学国際教育交流センター
雑誌
北九州市立大学国際論集 = CIEE journal, the University of Kitakyushu (ISSN:13481851)
巻号頁・発行日
no.8, pp.53-62, 2010-03

本稿は学部留学生対象の読解授業の在り方を検討したものである。言語教育の分野で新たなパラダイムシフトが起こり、社会の構成員としての学習者の自律性が重要視されるようになっている。また、大学における学びも学習者の自律的かつ主体的な行動なしには成立しない。学習者オートノミーを育てながら読解力を養成するために、日本語の授業で何ができるのだろうか。そこで、個々の学習者が自律的にテキストに取り組むために個別対応型チュートリアルの授業を行い、一人一人の学びに対応することにした。さらに、従来の読解授業では、一斉授業方式で行われ、学習者の読みの結果のみを扱ってきたことが問題であった。そのため、個々の学習者の読みのプロセスを共有し、自己発見を促すためにピア・リーディングの授業を並行して行うこととした。ピア活動における他者は、学習者の「読んだつもり・わかったつもり」にゆさぶりをかける存在であり、対話という他者との相互作用によって新たな発見が起こり、テキストへの更なる理解をめざす。