著者
御子神 由紀子
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.31, no.4, pp.955-958, 2016 (Released:2016-08-20)
参考文献数
23

急性期病院の患者は高齢者、障害者が多く、入院前より低栄養、フレイルやサルコペニアを呈する者もいる。このような患者は短期間の入院でも不適切な栄養管理、安静、侵襲によりフレイル、サルコペニアを悪化させ、ADLの低下をまねく危険性がある。ADL低下を予防するためにも集中治療を含む急性期治療だけでなく、入院時よりリハビリテーション栄養の考え方にのっとり栄養とリハビリテーションの介入を開始していく。また、患者、患者家族を支えるために、入院中は積極的に多職種連携を行い情報共有をしていく。さらに、退院、再入院防止にむけ、医療保険、介護保険を駆使し、地域の介護、医療、福祉とも連携していくシステムが求められる。
著者
御子神 由紀子 丸山 道生 橋本 直子 中島 明子
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.1089-1093, 2010 (Released:2010-10-25)
参考文献数
13
被引用文献数
2

【目的】摂食・嚥下障害を有する高齢者の栄養状態の分析とリハビリの効果を明らかにするため調査を行った。【対象及び方法】入院後経口摂取困難となった高齢者66例を対象とし、ADLで分類し、改善している者を改善群、退院時も変化がない者を不良群、死亡退院した者を死亡群とした。カルテより入院時疾患、既往、Alb、栄養経路、転帰などを調査した。【結果】経口摂取能力、Albの改善は改善群では不良群より良好であった。転帰先は改善群では不良群より自宅退院が多かった。不良群で転院の者は全て経口摂取能力を獲得していなかった。【考察】摂食・嚥下障害とADLの改善は相関し、予後の因子の一つとして低栄養が推測される。転院の原因は胃瘻など栄養管理が困難な場合、低栄養によるADLの低下であった。医療経済効果のため栄養管理を地域医療に推進させる必要があり、今後このような高齢者を支えるためにシステムの構築が重要である。