著者
御子神 由紀子 丸山 道生 橋本 直子 中島 明子
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.25, no.5, pp.1089-1093, 2010 (Released:2010-10-25)
参考文献数
13
被引用文献数
2

【目的】摂食・嚥下障害を有する高齢者の栄養状態の分析とリハビリの効果を明らかにするため調査を行った。【対象及び方法】入院後経口摂取困難となった高齢者66例を対象とし、ADLで分類し、改善している者を改善群、退院時も変化がない者を不良群、死亡退院した者を死亡群とした。カルテより入院時疾患、既往、Alb、栄養経路、転帰などを調査した。【結果】経口摂取能力、Albの改善は改善群では不良群より良好であった。転帰先は改善群では不良群より自宅退院が多かった。不良群で転院の者は全て経口摂取能力を獲得していなかった。【考察】摂食・嚥下障害とADLの改善は相関し、予後の因子の一つとして低栄養が推測される。転院の原因は胃瘻など栄養管理が困難な場合、低栄養によるADLの低下であった。医療経済効果のため栄養管理を地域医療に推進させる必要があり、今後このような高齢者を支えるためにシステムの構築が重要である。
著者
丸山 道生
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.819-824, 2014 (Released:2014-06-23)
参考文献数
15

摂食・嚥下障害患者にとって、人工的水分・栄養補給(AHN)を行う場合、その多くはPEGが第一選択となる。特に適応上議論のある認知症に関して、欧米では医学的観点からもPEGの効果は認められないとされ、合理的にPEGの適応はないことが導き出されている。しかし、本邦ではPEGは生存も効果も良好であるゆえに、AHNをすると意思決定した場合は、PEGをして長く生きることを、一方、AHNを選択しない場合はPEGを施行せず、早く死ぬことを意味する。その意思決定はより哲学的な問題で、PEGによるQOLの考慮は副次的なものでしかない。医療者・介護者の役割は、患者と家族のPEG選択への苦悩を軽減させること、そして、患者がPEGとそれに続く胃瘻栄養を行った時に、患者と家族のQOLを向上させ、患者の人生の物語を豊かにするのを応援することである。
著者
丸山 道生
出版者
日本外科代謝栄養学会
雑誌
外科と代謝・栄養 (ISSN:03895564)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.63-72, 2017 (Released:2018-02-22)
参考文献数
27

わが国では,静注用脂肪乳剤として大豆油100%製剤のみしかないが,世界では,大豆油以外に,中鎖脂肪酸(MCT)やオリーブ油,魚油などを原料とした脂肪乳剤が臨床的に使用されている.大豆油はその脂肪酸組成においてn-6 系多価不飽和脂肪酸のリノール酸が大半を占めており,その代謝産物のエイコサノイドは生体の炎症を惹起させる作用があるため,理論的には大豆油由来の脂肪乳剤は長期投与や重症患者への投与には慎重を要する.この大豆油由来の脂肪乳剤の欠点を緩和するために,生物活性の少ないMCT やオリーブオイルを混合した製剤が開発されてきた.また,違ったアプローチとしてn-3 系多価不飽和脂肪酸を豊富に含む魚油を使用することで,炎症反応を抑えるというn-6 系にない有用な作用をもつ脂肪乳剤も開発されてきた.各種脂肪乳剤の原料の油脂の特徴と現在,世界で使用されている各種脂肪乳剤の特徴を解説し,脂肪乳剤の代謝に関しても記載する.