著者
小林 聖幸 鎌田 英紀 中林 良太 小野 正大 河野 寿明 波間 大輔 藤田 直樹 山名 浩喜 徳毛 誠樹 國土 泰孝
出版者
一般社団法人 日本胆道学会
雑誌
胆道 (ISSN:09140077)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.747-753, 2023-10-31 (Released:2023-10-31)
参考文献数
18

近年,内視鏡的経乳頭的胆嚢ドレナージ術は急性胆嚢炎に対して行われるドレナージ方法の一つとして普及しているが,bridge to surgery(BTS)におけるドレナージとしての報告は少ない.今回,急性胆嚢炎のBTSとして内視鏡的経乳頭的胆嚢ステント留置術(EGBS)を行った20例を経験したため報告する.166例の急性胆嚢炎症例の内,BTSとしてEGBSを施行した20例を対象とし,有用性と安全性について検討した.EGBSの手技的成功率は100%(20/20例),手技関連偶発症は5%(1/20例)に認め,軽症急性膵炎であり,保存的加療で改善した.術前待機期間のステントトラブルは5%(1/20例)にみられ,経乳頭的にステントを交換し,その後胆嚢摘出術が施行された.急性胆嚢炎診断時に早期胆嚢摘出術が困難な症例に対して,EGBSはBTSにおけるドレナージ法として有用かつ安全な治療法と考えられた.
著者
村岡 孝幸 大橋 龍一郎 徳毛 誠樹 岡 智
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.29, no.6, pp.885-889, 2009-09-30 (Released:2009-11-10)
参考文献数
15
被引用文献数
1

包丁の自傷行為による胃前後壁刺創の2例を経験した。2例とも受傷直後に搬入され,dynamic CT動脈相で胃損傷部位からの造影剤血管外漏出を認めた。緊急開腹術を施行したところ,胃前後壁を貫通した全層性刺創で,損傷部を修復した。術後経過は良好であった。刺創症例の開腹基準に関して種々の検討がなされてきたが,近年ではCTの有用性を示す報告が目立つ。自験例では造影剤の血管外漏出の他にも網嚢内に液体の貯留を認めたことが損傷部位同定の一助となった。また2例とも腹壁創と臓器損傷部位が近接していなかったが,これは受傷時とCT撮影時の体位の相違によるものと考えられた。体位による臓器の移動を念頭におくことでより正確な術前診断が可能になる。