- 著者
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徳永 あゆみ
今川 彰久
西尾 博
早田 敏
下村 伊一郎
阿比留 教生
粟田 卓也
池上 博司
内潟 安子
及川 洋一
大澤 春彦
梶尾 裕
川﨑 英二
川畑 由美子
小澤 純二
島田 朗
高橋 和眞
田中 昌一郎
中條 大輔
福井 智康
三浦 順之助
安田 和基
安田 尚史
小林 哲郎
花房 俊昭
日本人1型糖尿病の成因診断病態治療に関する調査研究委員会
- 出版者
- 一般社団法人 日本糖尿病学会
- 雑誌
- 糖尿病 (ISSN:0021437X)
- 巻号頁・発行日
- vol.61, no.12, pp.840-849, 2018-12-30 (Released:2018-12-30)
- 参考文献数
- 29
- 被引用文献数
-
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劇症1型糖尿病は急激な発症と重症代謝異常が特徴である.本委員会では膵臓MRIのうち水分子の拡散制限を反映する拡散強調画像に注目し,劇症1型糖尿病発症早期における診断への有用性を検討した.画像データが存在する劇症1型糖尿病症例14例について,拡散の定量化指標であるADC(Apparent Diffusion Coefficient)値を算出し,非糖尿病対照例21例と比較した.劇症1型糖尿病症例では膵臓の全領域でADC値が有意に低下し,膵全体にわたる単核球浸潤による細胞密度上昇が示唆された.ADC値の最良のカットオフ値を用いると,診断感度86 %,特異度71 %であり,非典型例2例の診断にも有用であった.また,劇症1型糖尿病症例におけるADC値は血糖値および動脈血pHと有意に相関し,発症後経過とともに上昇傾向であった.以上より,膵臓MRI拡散強調画像は劇症1型糖尿病の効率的な診断の一助となることが示唆された.