著者
加藤 駿平 金井 純子 中野 晋 湯浅 恭史 徳永 雅彦
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集F6(安全問題)
巻号頁・発行日
vol.76, no.2, pp.I_131-I_139, 2020

<p> 平成30年7月豪雨では広島県の沼田川流域で堤防からの溢水や決壊が生じ,三原市内の複数の高齢者施設で浸水被害が発生した.そこで,被災した3施設を対象に被害状況,水害発生時の避難行動,被災後の業務再開状況等について聞き取り調査を実施した.また,聞き取り調査から得られた浸水過程や避難行動を確認し,詳細分析を行うため,各施設周辺の浸水痕跡調査及び沼田川流域を対象とした河川氾濫数値解析も実施した.浸水エリア内の微高地に立地する施設では臨時の避難場所の役割を果たしたが,避難者との連携が課題となった.深刻な床上浸水被害を受けた施設では緊急時の職員参集体制,近隣の支援者の確保など,水害を想定した具体的な避難計画の作成が急務であることが明らかとなった.また,災害休業時における雇用対策も事業継続上重要な課題であることがわかった.</p>