著者
徳田 恵一 小林 隆夫 徳田 篤洋 今井 聖
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:03736091)
巻号頁・発行日
vol.J71-A, no.2, pp.260-267, 1988-02-25

任意の対数振幅・位相をもつ希望特性は,複素ケプストラムの性質を用いることにより,最大・最小位相成分に分離することができる.このとき,最大位相あるいは最小位相の対数振幅と位相は,ヒルベルト変換により一意に関係づけられるので,振幅と位相の同時近似問題は,最大および最小位相成分の振幅近似問題に置き換えられる.本論文では,最大位相成分を逆線形予測法により,最小位相成分を極零分離法により,それぞれ近似する方法について述べ,更に振幅あるいは位相のいずれかに着目して,最大・最小位相成分の近似を交互に繰り返すことにより,特性を改善する方法を提案している.本方法は,振幅あるいは位相のどちらかに厳しい近似特性が要求されたとき,特に有効となる.フィルタ係数の決定は,FFTおよび線形予測法に基づいているため,非線形最適化法に比べ高速である.