著者
上坂 吉則
出版者
電子通信学会
雑誌
電子通信学会論文誌 A (ISSN:03736091)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.p166-173, 1984-03
被引用文献数
94
著者
福島 邦彦
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:03736091)
巻号頁・発行日
vol.J62-A, no.10, pp.658-665, 1979-10-25

パターン認識における最大の難題は,入力パターンの位置がずれたり形がゆがんだりしたときに,どのような処理を施すべきかという問題であり,この問題に対する根本的な解決法はこれまでみいだされていなかった.筆者は,動物の視覚神経系の構造からヒントを得て,この問題を解決する新しいアルゴリズムを考察し,これを実現する多層の神経回路モデル(ネオコグニトロンと呼ぶ)を構成し,計算機シミュレーションによってその能力を確認したので報告する.この神経回路モデルは,自己組織化能力をも有する.認識すべき複数個のパターンを回路に繰返し呈示しているだけで,回路は,それらのパターンを区別して正しく認識する能力を,教師なし学習によって身につけていく.自己組織化が完了した状態では,回路は,入力パターンの呈示位置がずれても,その大きさや形が多少変形しても,多少の雑音が含まれていても,正しくパターンを認識する.
著者
甘利 俊一
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:03736091)
巻号頁・発行日
vol.J69-A, no.6, pp.757-763, 1986-06-25

二つの地点で互に相関のあるデータが観測された場合に,両地点でそれぞれ独立に情報の縮約を行いデータの量を減らすことがある.経済データ,環境データなどにこうした例が多い.縮約したデータ(統計量)を持ち寄って両者を共通に支配する確率構造についての統計的推論を行う場合に,それぞれのデータを独立に情報縮約したことによって失われる統計情報量はどのくらいであろうか.いいかえれば,Shannonの意味での情報量の縮約を両地点で独立に行った場合に失われるFisher情報量はどの位であり,このときの最良のデータ圧縮法と推定法はどのようなものになるであろうか.本論文は,新しく相互Fisher情報量という概念を導入し,情報理論と統計学を結ぶ新しい理論を提唱してこの問題を解決する.確率分布空間の幾何学的構造を研究する情報幾何学の有効性がここでも示される.
著者
岩波 保則 池田 哲夫
出版者
Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子通信学会論文誌. A (ISSN:03736091)
巻号頁・発行日
vol.J60-A, no.6, pp.505-512, 1977-06-20

従来の研究により,各種のデータ伝送システムに対する誤り率特性の解析は,広範になされてきており,多くの雑音に強い最適受信システムが考えられてきている.ただその際,妨害雑音のモデルとしては,ガウス雑音を対象にしたものが非常に多く,ガウス雑音に対する誤り率の算定は,現在ほぼなされたといえる.しかし,無線回線を用いた実際のディジタル通信システムにおいては,ガウス雑音よりもむしろインパルス雑音の影響が大きいことは経験上良く知られている.インパルス雑音に対する誤り率特性の解析についてもPSK,DPSKなどのベースバンド信号に対しては行われてきているが,無線回線用の周波数変調方式であるPSK-FM方式などについては,まだ行われていない.誤りを起す原因となる雑音には,インパルス雑音やガウス雑音のほかにも考えられるが,ここでは,インパルス雑音とガウス雑音のみを仮定し,それらを別々にPSK-FM信号に相加したときの誤り率特性を求め,更にそれらから,PSK-FM方式のインパルス雑音とガウス雑音に対する誤り率特性を2つの誤り率の重ね合せという方法により評価する.
著者
菅野 正嗣 西田 竹志 宮原 秀夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:03736091)
巻号頁・発行日
vol.J70-A, no.2, pp.278-288, 1987-02-25

地上回線と衛星回線とが結合された,大規模な地上/衛星系通信ネットワークシステムを設計するにあたって,従来様々な手法が提案されてきたが,これらの手法では対象とするネットワークの大きさや,設計時における制約条件が非常に限られていた.そのため,得られた解が現実性に乏しいという欠点を持っていた.そこで本論文では,制約条件としてネットワーク性能基準の他に,実際に構築する際に生ずる様々な制約条件をも考慮して,構築費用が最小となるネットワークシステム形態を発見的手法によって得るためのアルゴリズムを提案した.更に,このアルゴリズムによって実際にネットワークシステムを設計し,アルゴリズムの妥当性を示した.また,得られたネットワークシステムにおいて,トラヒック量が増加したり,地上局や地上回線などのネットワーク構成要素の費用が低下した場合,どのようにネットワーク形態を変更すべきかを示した.
著者
徳田 恵一 小林 隆夫 徳田 篤洋 今井 聖
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:03736091)
巻号頁・発行日
vol.J71-A, no.2, pp.260-267, 1988-02-25

任意の対数振幅・位相をもつ希望特性は,複素ケプストラムの性質を用いることにより,最大・最小位相成分に分離することができる.このとき,最大位相あるいは最小位相の対数振幅と位相は,ヒルベルト変換により一意に関係づけられるので,振幅と位相の同時近似問題は,最大および最小位相成分の振幅近似問題に置き換えられる.本論文では,最大位相成分を逆線形予測法により,最小位相成分を極零分離法により,それぞれ近似する方法について述べ,更に振幅あるいは位相のいずれかに着目して,最大・最小位相成分の近似を交互に繰り返すことにより,特性を改善する方法を提案している.本方法は,振幅あるいは位相のどちらかに厳しい近似特性が要求されたとき,特に有効となる.フィルタ係数の決定は,FFTおよび線形予測法に基づいているため,非線形最適化法に比べ高速である.
著者
阿江 忠
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:03736091)
巻号頁・発行日
vol.J57-A, no.12, pp.849-855, 1974-12-25

オートマトンの分解理論に関しては既に多くの論文が報告されているが,そのほとんどは直並列分解のみを考慮した分解理論であるため,分解の最小単位は順序回路におけるものと正確には一致しない.本論文は帰還分解をも併せ考慮すれば分解最小単位に正確な一致をみることを擬完全オートマトンについて証明したものである.すなわち,帰還分解を許す分解法のものでは擬完全オートマトンの分解最小単位は位数2のリセットオートマトンあるいは位数2のカウンタのどちらかで十分であることが示された.
著者
白井 克彦 誉田 雅彰
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:03736091)
巻号頁・発行日
vol.J59-A, no.8, pp.668-674, 1976-08-25

調音運動に関する研究は,音声伝送,音声合成,音声認識の基礎として,音響次元での処理を調音運動の特性に応じた適切なものとする意味から重要であり,その手段として調音機構に関する適当なモデルを設定することが有用である.本論文では,各調音器官の構造性を考慮した調音モデルの構成方法について述べた.このモデルの特徴は,側面X線写真データの統計的な分析によって得られる舌面の変形に関しての主要な変動要因を用いて舌を表現している点であり,従来のモデルと同程度のパラメータでより精密な調音状態の記述が可能となる.次に,このモデルを用いて調音パラメータと音響次元との対応関係を定量的に調べ,その応用として非線形重回帰分析の手法を用いた調音パラメータの推定方法を述べた.ホルマント周波数を用いて,合成音声と実音声について推定した結果は十分妥当なものであり,本方法の有効性を示している.
著者
白井 克彦 誉田 雅彰
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:03736091)
巻号頁・発行日
vol.J61-A, no.5, pp.409-416, 1978-05-25

調音器官の構造に基づいて,声道形を表現する調音モデルを設定し,音声波からモデルマッチングの手法によって,調音状態を推定する方法について述べる.この方法では,音声スペクトルに関して,設定されたモデルの適合誤差を最小にすることを基本とした非線形最適化問題として,調音パラメータが推定される.その場合,解の唯一性や収束の安定性が問題となるが,調音パラメータの変動範囲および分析フレーム間の連続性の制約を評価関数に取入れること,声道特性の分離基準としてモデルの特性を考慮すること,適切な初期値の設定などによって,二,三回の反復計算により十分安定に解が求まることが,合成分析実験により明らかになった.更に,本方法を実音声に適用し,良好な結果が得られることを確認した.
著者
桑原 尚夫 大串 健吾
出版者
電子通信学会
雑誌
電子通信学会論文誌 A (ISSN:03736091)
巻号頁・発行日
vol.66, no.6, pp.p545-552, 1983-06
被引用文献数
18
著者
桑原 尚夫 大串 健吾
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:03736091)
巻号頁・発行日
vol.J69-A, no.4, pp.509-517, 1986-04-25

声道特性と音声の個人性との関係を調べるため,ホルマント周波数とバンド幅を独立に制御するピッチ同期分析合成システムを構成し,自然音声に含まれるそれらのパラメータを制御した音声を合成して個人性判断の実験を行なった.その結果,ホルマント周波数,特に第3以下の低次ホルマント,のシフトに関しては個人性は敏感であり,一様シフトに対して5%で個人性が失われる.バンド幅の伸縮に対しては比較的よく保存されるが,第4以上の高次ホルマントの伸縮に敏感である.一様伸縮に対しては5倍あるいは1/5倍以下で完全に個人性が失われる.
著者
後藤 敏 大附 辰夫
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:03736091)
巻号頁・発行日
vol.J57-A, no.11, pp.810-817, 1974-11-25

グラフの特定の2節点間のパスの長さ,あるいはカットセットの値の最大・最小を求めることは,それ自体でも意味ある問題であるが,各種の問題の部分問題として現れるので極めて重要である.従来,解法としてラベリング法に基づくグラフ的手法と線形計画法で代表される代数的手法がよく用いられているが,二つの手法が全く独立な立場から論ぜられており,両者のギャップを縮めるための研究はあまりなされていない.本文ではこれらの問題をグラフの基本カットセット行列あるいは基本閉路行列によって表されるキルヒホッフの法則を用いて線形計画法で定式化し,シンプレックス法による解法と1対1に対応した新しいグラフ的手法を導き,これらの問題が統一的に扱えることを示した.更に,シンプレックス法における基底・枢軸変換・双対性・退化などの概念がすべてグラフ理論と対応づけられることが明らかになった.又,本文で提案した方法はパス,カットセットの最大・最小問題の一般解を求めることができるため,実用的価値が高いと思われる.
著者
山形 積治 奈良 慎一 深井 一郎 安田 一次
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 A (ISSN:03736091)
巻号頁・発行日
vol.J62-A, no.7, pp.436-443, 1979-07-25

先にplano-convex AT-cut水晶振動子の振動モードをx′-y′断面について実測し,有限要素によってシミュレーションを加えた.その結果,特に厚み方向(y′軸)の応力の分布を明らかにした.今回は前述の結果,すなわち,y′軸方向の厚みすべりの応力T′6の分布が正弦関数状(厚みすべりの変位U′1は余弦関数状)になる,事実に基づきx′-z′平面(主平面)における厚みすべり振動の変位振幅U′1(x′,z′)分布の解析を行った.AT-cut水晶振動子を無限障壁を有するボテンシャル井戸と考えると,U′1に対する振動方程式はシュレーディンガー方程式となる.筆者らはこの方程式を原形のまま有限要素法を用いて解くことを試みた.その結果,共振周波数,振動モード共に実測値と極めて高い精度で一致することが明らかとなった.先にウィルソンが振動子を放物面障壁を有するポテンシャル井戸と仮定して解いた近似解よりも1けた以上も精度が高い点に本解析法の特色がある.