著者
齋藤 靖弘 成田 拓弥 徳留 章 早坂 敬明 松田 律史 民谷 健太郎 増井 伸高 松田 知倫 武田 清孝 瀧 健治
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.493-498, 2019-06-30 (Released:2019-06-30)
参考文献数
11

救急外来(emergency room;ER)における薬剤師の業務報告は未だ少ない。この原因には診療報酬上の加算がない以上に,ERでの薬剤師業務が明確ではないことが考えられる。 今回,札幌東徳洲会病院(以下,当院)のER専従薬剤師が行っている業務として「持参薬鑑別」を取り上げ,その迅速性・内容・時間の観点から調査・検討を行った。結果として,ER専従薬剤師の施行した持参薬鑑別は救急搬入後2時間以内にほぼ終了していた。また薬剤起因性疾患の原因となり得る薬剤を常用している患者が一定数存在した。さらにER専従薬剤師は救急医の薬歴把握にかかる業務負担を1日当たり1.9時間軽減している可能性が示唆された。 以上の結果より,ERに薬剤師を専従配置することは,迅速な持参薬鑑別をER専従薬剤師が行うことでタスクシフティングによる救急医の負担軽減のみならず,薬剤起因性疾患の早期診断支援につながる可能性がある。