著者
山田 雅博 石渡 哲哉 愛木 豊彦 竹内 茂 米田 力生 下村 哲
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

本研究では,テプリッツ作用素の有界性に関する研究を行った。特に,${\bf R}^{n}$の上半平面で定義された調和バーグマン空間におけるテープリッツ作用素の有界性に関連したカールソン不等式の解析を行った。テープリッツ作用素の可逆性に関する研究に関連して,調和ベルグマン空間における接導関数と非接導関数との関連性に関する研究を行い,それらの関数のノルムが同値となることを示した。また,カールソン不等式と呼ばれる積分不等式の性質の解析を行い,申請者が過去に行った研究結果を含んだより一般的な結果を得た。ここでは,考えるベルグマン空間も調和関数によって作られるバナッハ空間とし,そこにおける$(A_{p})$条件に相当する新しい概念を導入した。具体的には,$n-$次元ユークリッド空間の上半平面で$P-$乗可積分な調和ベルグマン空間を考える。一方の測度の任意の調和関数の$p-$乗積分が他方の測度の調和関数の$p-$乗積分で上から押さえられるための必要十分条件を,他方の測度が$(A_{p})_{\partial}$条件を満足するときに特徴付けた。$\alpha$--ベルグマン空間という新たな概念が提示され,通常のベルグマン空間を放物型作用素の解空間の一種と見なし,より統一的にベルグマン空間を研究するという方向が示された。これに関連して$\alpha$--ベルグマン空間上のカールソン不等式を考察し,カールソン不等式が成立するための特徴付けを行った。この特徴付けは,ある種の微分方程式の基本解をもとに構成した再生核を用いて行った。また,その際に必要十分条件を記述するため,$\alpha$--カールソンボックスという概念を導入し,再生核の境界挙動や評価を行い,その性質を明らかにした。