著者
斉藤 厚志 成島 浄 松村 明 目黒 琴生 能勢 忠男
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.5, pp.472-477, 1995-09-20

肝硬変を伴った非外傷性脳出血9症例について臨床的に検討した.男性が7例と多く,肝硬変の原因はC型肝炎ウイルスが4例と多かった.脳出血の部位は,大脳皮質下出血が4例で最も多かった.術前の血小板数は,全例で底下しており,PT・APTTを術前に測定できた6例中,PT延長を2例に認めた.開頭血腫除去術が2例に行われたが,出血傾向による合併症を生じた.穿頭血腫ドレナージ術は3例行われ,いずれも補充療法を併用し,術後経過は良好であった.長期経過は,肝不全,食道静脈瘤破裂などの肝硬変に直接起因する死亡例が3例あり,不良のものが多かった.独歩退院は,皮質下出血に対する穿頭血腫ドレナージ術後の2例のみであった.
著者
鈴木 議介 目黒 琴生 鶴島 英夫 和田 光功 長友 康 中井 啓 藤田 桂史 成島 浄 中田 義隆 小野 幸雄
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.6, no.5, pp.316-321, 1997-05-20
被引用文献数
1

脳主幹動脈閉塞症は急性期の適切な治療により,その重篤な症状を軽快させることができる.われわれは70例に急性期血栓溶解療法を施行し,良好な結果を得ているが,その中で急性期の治療のみでは十分な結果が得られず,二期的に血行再建術を要したものが4例存在した.4例とも経過はきわめて良好であり,虚血の再発を予防するため,あるいはより完全な血行動態を得るために有効な方法と考えられた.二期的な血行再建法(staged revascularization)を必要とする症例が存在し,このことを念頭において検査および治療を選択するべきであると思われた.