著者
山本 哲夫 朝倉 光司 白崎 英明 氷見 徹夫 小笠原 英樹 成田 慎一郎 形浦 昭克
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科學會會報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.108, no.10, pp.971-979, 2005-10-20
被引用文献数
7 3

1995年4月から2002年の間に札幌市南区にある耳鼻咽喉科診療所を受診し4種のCAP (シラカバ, カモガヤ, ヨモギ, ダニ) を検査した例を対象にOASの有症率を調査した. そしてシラカバ花粉の感作とOASの関係を調べるとともに, イネ科やヨモギ花粉の感作とOASとの関係も調べた. シラカバ感作例843例のうち37% (378例) が問診上OASを有しており, 多くの原因食物 (リンゴ, モモ, サクランボ, キウイ, ナシ, プラム, メロン, イチゴ, カキ, ブドウ, トマト, スイカ, マンゴー, バナナ) に対しシラカバ陰性例より多く, またこの中でブドウとマンゴーとバナナ以外はいずれもシラカバCAPスコアの増加とともに有症率が上昇した. また原因食物の数もシラカバCAPスコアの増加とともに増大した. シラカバ感作例におけるOASの有症率は92年の調査より増加していた. シラカバ感作例において同じシラカバCAPスコアごとで比較すると, イネ科重複感作例はメロンとスイカとモモのOASが多く, ヨモギ重複感作例はメロンのOASが多い場合があった. シラカバ感作例においてロジスティック回帰分析を用い. OASの合併に影響する因子を調べると, シラカバCAPスコア以外には, 性別 (女性に多い) とダニCAP (陽性例に少ない) が有意であり, また原因食物別にはキウイとトマトに対するOASはヨモギ陽性例に有意に多かったが, イネ科に関しては有意差はなかった.
著者
山本 哲夫 朝倉 光司 白崎 英明 氷見 徹夫 小笠原 英樹 成田 慎一郎 形浦 昭克
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.435-442, 2004
被引用文献数
6

2003年に札幌市南区にある耳鼻咽喉科診療所を発症後受診したシラカバ花粉症(鼻または眼症状の季節性とCAP陽性[スコア2以上])を対象にOASの有症率を調査した.また以前の1992年と最近の1998年の調査結果と一部比較した.シラカバ花粉症153例のうち42%(65例)が問診上OASを有していた.このOASの有症率は92年(24%)より多く,98年(45%)とは同様であった.シラカバ花粉症の中ではシラカバCAPのスコアが高いほどOASが多く,女性が男性よりOASが多かった.2003年は有意差はなかったが,98年には花粉症の初診日(その年に花粉症の症状発現後の最初の受診日)が4月までの患者が,5月以降の患者よりOASが多かった.2003年はイネ科とヨモギ花粉の陽性例にOASが多かったが,シラカバ花粉の感作の程度のためと思われた.