著者
水内 豊和 成田 泉
出版者
富山大学人間発達科学部附属人間発達科学研究実践総合センター
雑誌
教育実践研究 : 富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要 (ISSN:18815227)
巻号頁・発行日
no.10, pp.91-95, 2015-12

広汎性発達障害者のもつ他者心情理解の弱さ等に起因する対人トラブルについて,その事案への事後指導はもちろんであるが,日常の生活の中で機会をとらえて指導していくことも必要である。本論では,異性へのつきまとい行為で職場から相談のあった広汎性発達障害成人Aに対し,自然な生活文脈の中で他者視点取得の機会を作り,全6回の相談支援をおこなった。その結果,家族へのクリスマスのプレゼントを考えるという身近なライフイベントの中で,Aにとって「社会的に望ましい気持ちの伝え方」を知り,また「相手にうれしいと思うことをすることは自分もうれしい」というように,さらなる向社会的行動につながる気持ちの深まりがみられた。
著者
成田 泉 関 理恵 澤田 美佳 水内 豊和
出版者
富山大学人間発達科学部発達教育学科発達福祉コース
雑誌
とやま発達福祉学年報 (ISSN:21850801)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.33-44, 2017-05-31

本研究では、保育所で行われている保育カンファレンスと保育実践の循環とその効果から、障害のある子どもに関する保育カンファレンスのあり方について検討した。その結果、「多様な意見やアイディアがでる保育カンファレンスであり、さらに子どもの姿から、保育実践を再考することができるような保育カンファレンスであること」、「園全体の共通理解を促進し、保育者が共通した保育方針をもつことができる保育カンファレンスであること」、「子どもの興味や関心から保育方法を探り、保育実践につなげることのできる保育カンファレンスであること」の3つが障害のある子どもを支援し保育者の効力感在高める保育カンファレンスのあり方として重要であることが示唆された。
著者
大井 ひかる 成田 泉 島田 明子 水内 豊和
出版者
富山大学人間発達科学部附属人間発達科学研究実践総合センター
雑誌
教育実践研究 : 富山大学人間発達科学研究実践総合センター紀要 (ISSN:18815227)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.87-91, 2016-12

公職選挙法改正に伴い、選挙権が満18歳を迎えた者に対して与えられるようになった。それにともない、これまで以上に学校在学時からの充実した主権者教育が必要となる。障害者にはその特性に合った支援が提供されるべきであるにもかかわらず、これまでに知的障害者と選挙に関する研究はほとんどなされていない。本研究では、実際に選挙権のある知的障害・発達障害のある成人が選挙に直面したときにどのような課題があるのかについて把握することを目的とし、T県の発達障害児等親の会に所属する保護者を対象として質問紙調査を実施した。調査内容は、基本情報、選挙への参加の有無とその理由、候補者を選択する方法、選挙に向けた家庭での対策や練習、知的障害・発達障害者の選挙についての意見・要望である。その結果、知的障害・発達障害者の選挙において、主権者教育では、選挙の投票方法に加えて選挙の意義に関する学習や、政策を理解するための支援が必要であることが示唆された。また、基本的環境整備と合理的配慮に関する検討課題が明らかになった。