- 著者
-
戸津 健太郎
江刺 正喜
- 出版者
- 東北大学
- 雑誌
- 特定領域研究
- 巻号頁・発行日
- 2005
極薄のL字形カンチレバーをアクチュエータに用いて光で駆動することで超小形の2次元光スキャナを実現することを目的とした。直径125μmの光ファイバ先端にアクチュエータを搭載させるため、カンチレバーの長さは100μmとした。カンチレバーを構成するバイメタルの材料として、これまで厚さ100nmのポリイミドおよび厚さ100nmの金を用いていた。カンチレバーにレーザ光を周期的に照射したとき、カンチレバーが駆動することを確認した。本年度は、測定装置、およびカンチレバーの改良を主に行った。効率よくレーザ光を照射するため、ファイバ先端に光ファイバ融着器を用いて球形のレンズを形成し、ファイバ端から出射するレーザ光を絞ることができるようにした。ポリイミドを再現性よく薄くすることが困難であること、材料がやわらかいため、共振周波数が比較的低い問題があり、カンチレバーを構成するバイメタルの材料として、厚さ100nmのシリコンと厚さ100nmの金を用いた。埋め込み酸化膜構造(SOI)のシリコンウェハを用いることで、極薄のシリコン構造体を実現した。ウェハ上に接着層となる厚さ30nmクロム薄膜および厚さ100nmの金薄膜を真空蒸着で形成後、パターニングした。このとき、ミラー面においてレーザ光を吸収させるため、クロム薄膜をミラー面に形成した。その後、シリコンをエッチングによりカンチレバーの形にパターニングし、最後にカンチレバー構造体をウェハからリリースした。膜の残留応力によりカンチレバーが立ち上がり、ミラーが傾いた構造を得ることができた。