著者
江刺 正喜 浅見 直樹
出版者
日経BP社
雑誌
日経エレクトロニクス (ISSN:03851680)
巻号頁・発行日
no.867, pp.162-164, 2004-02-16

電子回路に微細な機能素子を加工するMEMS技術は,欧米企業が自動車用加速度センサやプロジェクタ素子などを実用化し,日本メーカーに先行している。こうした中,東北大学 未来科学技術共同研究センター 教授の江刺正喜氏は,MEMS分野における日本の進むべき道を模索し続けている。同氏が欧米のモノマネではない日本の産学連携について語った。
著者
戸津 健太郎 江刺 正喜
出版者
東北大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2005

極薄のL字形カンチレバーをアクチュエータに用いて光で駆動することで超小形の2次元光スキャナを実現することを目的とした。直径125μmの光ファイバ先端にアクチュエータを搭載させるため、カンチレバーの長さは100μmとした。カンチレバーを構成するバイメタルの材料として、これまで厚さ100nmのポリイミドおよび厚さ100nmの金を用いていた。カンチレバーにレーザ光を周期的に照射したとき、カンチレバーが駆動することを確認した。本年度は、測定装置、およびカンチレバーの改良を主に行った。効率よくレーザ光を照射するため、ファイバ先端に光ファイバ融着器を用いて球形のレンズを形成し、ファイバ端から出射するレーザ光を絞ることができるようにした。ポリイミドを再現性よく薄くすることが困難であること、材料がやわらかいため、共振周波数が比較的低い問題があり、カンチレバーを構成するバイメタルの材料として、厚さ100nmのシリコンと厚さ100nmの金を用いた。埋め込み酸化膜構造(SOI)のシリコンウェハを用いることで、極薄のシリコン構造体を実現した。ウェハ上に接着層となる厚さ30nmクロム薄膜および厚さ100nmの金薄膜を真空蒸着で形成後、パターニングした。このとき、ミラー面においてレーザ光を吸収させるため、クロム薄膜をミラー面に形成した。その後、シリコンをエッチングによりカンチレバーの形にパターニングし、最後にカンチレバー構造体をウェハからリリースした。膜の残留応力によりカンチレバーが立ち上がり、ミラーが傾いた構造を得ることができた。
著者
庄子 習一 江刺 正喜 松尾 正之
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 C (ISSN:03736113)
巻号頁・発行日
vol.J68-C, no.6, pp.475-481, 1985-06-25

生体計測を目的としたpNa,pK用ISFETの性能を向上させるため,そのイオン感応膜であるM2O-Al2O3-SiO2(MAS,M:アルカリ金属)膜のイオン選択性について研究を行った.MAS膜はpNa,pK用のガラス電極の材料として用いられているものであり,そのイオン選択性はMAS膜の組成に依存することが知られている.そこで,pNa,pK用ISFETのイオン選択性を最大にするため,MAS膜ゲートISFETのMAS膜組成を変化させイオン選択性を測定し,両者の関係を調べた.その結果,MAS膜ゲートISFETのNa+-K+イオン間の選択性はMAS膜のアルカリ金属の種類とアルカリ金属,アルミニウムの含有比の両方に依存することが確められ,pNa,pK用ISFETのイオン感応膜として最適な組成を決定することができた.pNa用のISFETとしてはアルカリ金属としてLiを含むLAS膜をイオン感応膜として用いK+イオンに対するNa+イオン選択性が約200倍で低ドリフト長寿命のものが実現できた.また,pK用ISFETとしてもKを含むKAS膜を用いることにより,Na+イオンに対するK+イオン選択性が約40倍のものが得られた.
著者
松尾 正之 江刺 正喜
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.586-593, 1980-06-10 (Released:2009-02-09)
参考文献数
23
被引用文献数
1

The Ion Sensitive Field-Effect Transistor (ISFET) is a new device for sensing cation activity in the electrolyte. This device is similar to the conventional MOSFET except that the gate insulator is exposed to solution. The gate insulator plays the role of an ion selective electrode and its potential can be detected by its FET action. ISFET's have potential advan-tages over conventional ion selective electrode in their rapid response, small size and low output impedance, and are extremely attractive for biomedical applications. The chemical responses of ISFET's depend on its surface materials. A nearly ideal pH response, excellent stability and selectivity to other cations are obtained using Al203 or Ta2O5. On the other hand, SiO2 shows a poor response and it is proved that the oxygen content in Si3N4 surface degrades its properties as a pH sensor. Sodium-alumino-silicate glass (NAS glass), which is generally known as a material for pNa, pK selective glass electrodes, is utilized as a surface material for the pNa and pK ISFET. The selectivities of these devices are comparable to that of the conventional pNa pK glass electrodes. Some applications of ISFET are also described, that is, micro ion sensor, multi-ion sensor (pH and pNa), combined pH sensor, and pCO2 sensor.
著者
小野 崇人 江刺 正喜
出版者
東北大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2006

本研究では、テラヘルツ波を発生検出するデバイスをMEMS技術で作製し、ナノメートルの分解能をもつ顕微鏡に応用する。テラヘルツの発生と検出を半導体技術で小型、集積化することで、余計な光学系が不要で、自由度が高い計測システムが実現できる。熱型センサの最小検出能は、検出する輻射光の揺らぎによるショットノイズ、センサから恒温浴への熱伝導に起因する熱揺らぎ、センサ自身の熱機械ノイズなどによって制限され、原理的に理論的な限界が存在する。このため、高感度な熱型の輻射センサは液体窒素や液体ヘリウムで冷却して利用する。一方、熱量の変化を機械的なそりとして変化として検出するバイメタル式センサが知られている。しかし、この場合も同様に周囲の熱による熱機械ノイズが最小検出感度を制限する。そこで、本研究では、レーザー光を利用した光熱力を利用し、応答を増幅して高感度化を図った。テラヘルツ波の発生と検出のため、スパッタZn0を用いた光導電性アンテナを開発した。Siの上にアンテナ構造を作製するため、Siと相性のいい、Zn0をスパッタにより作製した光導電性アンテ光伝導層として利用した。このZn0膜上に金属のパターンを形成し、光導電性アンテナを形成した。作製したアンテナを評価した結果、Zn0膜がTHz波の検出および発生に使えることを示した。また、THzの近接場を形成するため、THzアンテナ上に金属で覆われたシリコンの探針を形成し、微小な開口を設けた。この近接場プローブにて信号が検出できることを確認した。
著者
江刺 正喜
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会誌 = The journal of the Institute of Electrical Engineers of Japan (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.129, no.5, pp.307-310, 2009-05-01
被引用文献数
1

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