著者
土井 庸直 石河 利之 戸田 慎 内藤 正俊
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.64, no.3, pp.562-566, 2015-09-25 (Released:2015-12-03)
参考文献数
9

手指末節骨内に発生する類上皮嚢腫は稀である.外傷後に左環指末節骨内に発生し,長期経過により著明な増大・骨破壊をきたした類上皮嚢腫の1例を経験したので報告する.【症例】54歳の男性.20年前にモーターに左環指を挟み受傷し,末節骨粉砕骨折の診断にて某医にて手術施行.その後,指の変形・腫脹は続いていた.平成26年3月仕事中に左環指を打撲後に疼痛出現し,近医受診.軟部腫瘍の診断にて当科紹介となった.左示指の末節部~中節部にかけて腫瘤形成認め,皮膚表面は凹凸変形していた.X線にて示指末節骨の骨透亮像を認め,造影MRIでは嚢胞性病変を認め,明らかな造影効果は認めなかった.骨内類上皮嚢腫を疑い,手術施行した.病理診断は類上皮嚢腫であった.【考察】骨内類上皮嚢腫はしばしば骨破壊を伴う.本症例は長期経過により著明な骨破壊をきたしていた.悪性化する報告もあり,疑った際は比較的早期に手術を行うことが望ましいと思われた.
著者
松下 優 前 隆男 佛坂 俊輔 加藤 剛 塚本 伸章 小宮 紀宏 清水 大樹 戸田 慎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.603-606, 2016-09-25 (Released:2016-12-06)
参考文献数
9

大理石骨病に伴った大腿骨転子下骨折の1例について検討することを目的とした.大理石骨病は骨変性を伴わない骨硬化性疾患で,主に破骨細胞の機能不全が原因とされ,骨硬化と骨脆弱性をきたし,易骨折性・造血障害・脳神経症状等を起こす稀な疾患である.骨折の際は,遷延癒合・偽関節・感染等の合併症を起こしやすく,また術中操作においても,骨質が非常に硬いため難渋する.症例は57歳 女性.自宅の階段で転倒し右大腿部を受傷.20歳頃に大理石骨病を指摘されたことがあり,大理石骨病に伴う病的骨折の診断で観血的骨接合術を施行した.術後15週に遷延癒合が見られ,再度骨接合術を施行した.術後1年間は免荷の方針としたが,骨癒合を確認でき,現在杖歩行でのリハビリ加療中である.