著者
依田 周 古市 格 村田 雅和 宮田 倫明 森口 昇 塚本 正紹 江頭 秀一 浅見 昭彦 仙波 英之 野口 康男 原 真一郎 前 隆男
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.613-618, 2010-09-25 (Released:2010-12-08)
参考文献数
7
被引用文献数
1

【背景】骨癒合評価時期について臨床現場や論文で医師間の認識に相違を感じることがあり,骨癒合と判定するタイミングを調査することとした.【方法】1.長崎大学,関連病院および佐賀骨折治療研究会所属医師103名を対象に,大腿骨骨幹部骨折に対して髄内釘を試行したレントゲンを経時的に提示.仮骨出現時期,仮骨架橋構造形成期,骨癒合時期,抜釘可能時期および整形外科経験年数についてメールアンケートを実施した.2.アンケートに用いたレントゲンを画像ソフトで処理し仮骨部の濃度,面積を評価.【結果】1.回答43名,経験年数は平均13.6年.いずれの時期においても医師間による相違が見られ,経験年数による差は見られなかった.2.仮骨部の濃度,面積は仮骨増生が強い時期に最大となり徐々に低下を認めた.【考察】レントゲンによる骨癒合評価は主観的要素や撮影条件により左右され,また整形外科医と放射線科医でも差を生じるとの報告もあり今回の調査でその傾向が認められた.
著者
松下 優 前 隆男 佛坂 俊輔 加藤 剛 塚本 伸章 小宮 紀宏 清水 大樹 戸田 慎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.3, pp.603-606, 2016-09-25 (Released:2016-12-06)
参考文献数
9

大理石骨病に伴った大腿骨転子下骨折の1例について検討することを目的とした.大理石骨病は骨変性を伴わない骨硬化性疾患で,主に破骨細胞の機能不全が原因とされ,骨硬化と骨脆弱性をきたし,易骨折性・造血障害・脳神経症状等を起こす稀な疾患である.骨折の際は,遷延癒合・偽関節・感染等の合併症を起こしやすく,また術中操作においても,骨質が非常に硬いため難渋する.症例は57歳 女性.自宅の階段で転倒し右大腿部を受傷.20歳頃に大理石骨病を指摘されたことがあり,大理石骨病に伴う病的骨折の診断で観血的骨接合術を施行した.術後15週に遷延癒合が見られ,再度骨接合術を施行した.術後1年間は免荷の方針としたが,骨癒合を確認でき,現在杖歩行でのリハビリ加療中である.