著者
本田 久樹 小林 大介 細見 新次郎 藤井 正司 戸祭 正喜 宇野 耕吉 司馬 良一
出版者
医学書院
雑誌
臨床整形外科 (ISSN:05570433)
巻号頁・発行日
vol.31, no.9, pp.1083-1086, 1996-09-25

抄録:多発性翼状片症候群(multiple pterygium syndrome,以下MPSと略す)とは多発性皮膚翼状片,先天性多発性関節拘縮と特異顔貌(眼瞼下垂,眼瞼裂斜下,耳介低位や小顎症など)を3主徴とし,他にも四肢の変形を合併する稀な疾患である.現在までの報告例は国内と海外を含めて約60例である.しかしMPSの中には,生下時には頚部の翼状片はそれほど顕著でないために先天性多発性関節拘縮症の診断にて報告されている例もあると思われる.本疾患は実際には今までの報告例よりも多数存在しているものと思われる.今回,筆者らは生後間もなく先天性多発性関節拘縮症と診断し,治療をしたが成長するにつれて,しだいに多発性皮膚翼状片が顕著となったことにより同症候群と考えられた2症例を経験した.