著者
藤原 和喜 瀧上 順誠 大嶺 俊充 山口 真耶 矢部 和樹 勝田 紘史
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.169-174, 2022 (Released:2022-08-11)
参考文献数
16

野球選手では投球・打撃の反対側(非投球側・非打撃側)の椎弓関節突起間部に腰椎分離症発生が多いとされており,どのような身体機能の特徴が関与しているかを調査した.対象は片側腰椎分離症野球選手29例とし,検証1を非投球側罹患群16例と投球側罹患群13例,検証2を非打撃側罹患群18例と打撃側罹患群11例に分類し,各検証での身体機能(下肢柔軟性,腰椎骨盤帯安定性,運動制御機能)を比較検討した.検証1の結果は,非投球側罹患群に胸椎・胸郭の伸展機能低下と下肢・体幹の運動制御機能低下を有意に認め,これらが非投球側の腰椎分離症に関与する可能性が示唆された.検証2では有意差を認めなかった.
著者
原田 幹生 宇野 智洋 佐々木 淳也 村 成幸 高木 理彰
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.22-26, 2022 (Released:2022-03-31)
参考文献数
9

小中学野球選手の睡眠を調べ,肩肘痛や投球パフォーマンスとの関係を検討した.野球肘検診に参加した小中学野球選手80名を対象として,アンケートを用いて,投球時の肩肘痛,投球パフォーマンス(KJOCスコア),および睡眠を調べた.肩肘痛を41名(51%)に認め,KJOCスコアは平均91点(38~100)であった.肩肘痛は,睡眠の質がとても良い選手(29%)に比べ,それ以外の選手(63%)で有意に多かった(p<0.05).睡眠において,就眠中の寒さ暑さ,睡眠時間が7時間以内,眠気による授業の支障,および起床時のすっきり感がKJOCスコアの低下と関連していた(いずれもp<0.05).適切な睡眠により,肩肘痛の予防や投球パフォーマンス低下の予防に繋がる可能性がある.
著者
森上 太郎 大久保 雄 西川 拓也 上林 和磨 乙戸 崇寛 赤坂 清和
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.30-36, 2020 (Released:2020-08-21)
参考文献数
20

目的:異なる頚部および上肢角度にてDraw-inを行なった際の腹部筋活動を超音波画像装置や表面筋電計を用いて評価し,腹部深部筋の賦活化に有効な肢位を検証すること.対象:健常成人男性22人.方法:頚部肢位4通り,上肢肢位3通りを組み合わせて12通りの肢位でDraw-inを行ない,腹筋群の筋形態および筋活動の変化を各肢位で比較した.結果:頚自動屈曲では腹直筋,外腹斜筋の活動量が増加および腹横筋の筋厚が低下し,上肢挙上位では外腹斜筋の活動量が増加した.結論:頚自動屈曲あるいは上肢挙上させることで腹部表層筋の活動量が増加することから,腹横筋の選択的収縮には頚部および上肢を中間位で安静にさせることが有用であることが示唆された.
著者
安本 慎也 大槻 伸吾 柳田 育久 相原 望 大久保 衞
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.100-104, 2022 (Released:2022-05-31)
参考文献数
18

メディカルチェックは選手の身体特性を把握するための有益な情報となる.本研究では大学野球部新入生を対象としたメディカルチェックを実施し,投球肩肘障害を有する選手の身体機能を比較検討した.身体機能検査では下肢・体幹可動性テスト,肩・肩甲骨可動性テスト,肩甲骨周囲筋・腱板機能の測定を実施した.肩痛群(PS群)では疼痛なし群(N群)と比較して,Elbow Push Test(EPT)の陽性者が有意に多かった.投球肩障害には,今回測定した身体機能のうち,肩甲骨動的安定性の低下が関与している可能性が示唆された.
著者
佐藤 力 高原 政利 宇野 智洋 三田地 亮 原田 幹生
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.7-11, 2022 (Released:2022-03-31)
参考文献数
8

上腕骨内側上顆裂離(裂離)のある野球選手44例(平均年齢11歳)の保存治療成績を調査した.全身コンディショニングを行い,投球休止は平均55日であった.経過観察期間は平均8ヵ月(最低3ヵ月)であった.肘痛の再発は14例であった.骨癒合は40例に得られ,そのうち29例では骨癒合後に裂離の再発はなく,11例で骨癒合後に裂離の再発がみられた.裂離が再発した11例のうち,9例では再癒合したが,2例では再癒合はなかった.4例は経過中に骨癒合は得られなかった.最終観察時に未癒合だった群では初診時年齢が有意に低かった.骨癒合前に投球を開始した群では再発や未癒合が有意に多かった.低年齢選手や骨癒合前の投球には注意を要する.
著者
森口 晃一
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.355-358, 2020 (Released:2020-08-21)
参考文献数
7

目的:投球時の肘下がりを想定したテストを考案し,その有用性を検討することである.方法:健常な中学野球選手(健常群)と投球肩・肘障害の診断を受けた症例群を対象とした.テストは,背臥位で投球側肘関節を耳孔の高さに位置させ,投球動作のlate cocking期に類似した肢位に設定した際に,肘関節が耳孔から耳垂の高さを維持できなかった場合は陽性と判定した.また,症例群の本テスト陽性者にストレッチ指導を行なった効果も検討した.結果:健常群と症例群でテストの陰性率に有意差を認めた.また症例群の陽性者にストレッチ指導を行なった結果では,ストレッチの実施頻度によって本テストの陰性率に有意差を認めた.結語:本テストの有用性が示唆された.