著者
梅野 貴裕 細川 忍 森田 絢子 中村 尚季 塩尻 正明 佐久川 亮 小倉 里奈 林 栄子 斎藤 利江子 増田 雅史 林 敦志 高橋 友香 田村 麻衣子 別所 昭宏
出版者
岡山赤十字病院
雑誌
岡山赤十字病院医学雑誌 (ISSN:09158073)
巻号頁・発行日
no.30, pp.14-19, 2019-11

肺クリプトコッカス症は髄膜炎発症例では重症化の恐れもあり,早期診断・治療が重要である.本疾患における早期診断や診断精度の向上に対する気管支鏡検査時のrapid on-site evaluation(ROSE)の有用性について後方視的に検討を行った.2015年4 月から2019年6 月の間に当院において,気管支鏡検査時にROSE を併用して診断した肺クリプトコッカス症の 8 例を対象とし,臨床像や臨床経過とともに気管支鏡検査時のROSE 結果と病理学的・真菌学的所見との比較を検討した.ROSE の所見は8 例全ての症例で莢膜を有する菌体と多核巨細胞を確認できており,組織診の所見と一致していた.1 例を除く7 例で培養陽性であった.また,基礎疾患を有する症例では気管支鏡検査後1 ~14日(中央値3 日)で治療導入を行っていた.本疾患において,ROSE の併用は診断精度の向上のみならず,早期の診断や治療に対しても有用である可能性が示唆された.
著者
荒井 弘和 所 昭宏 平井 啓 野長 さおり 小林 博美 井上 亜由美 上砂 陽子 田中 孝浩
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.50, no.7, pp.667-673, 2010-07-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
14

本研究では,肺結核患者のマスク着用行動に対する変容ステージを検討し,マスク着用に関する恩恵と負担,阻害要因と促進要因,社会的要因,身体症状,および心理的適応状態が,変容ステージによって異なるか比較を行った.対象者は,入院中の肺結核患者および肺結核疑い患者であった.研究デザインは横断的調査であった.本研究の48名の対象者のうち,ステージの分布は,準備期22名および実行期26名であった.48名の平均年齢は53.09±16.70歳(19〜78歳)であった.分析の結果,マスク着用の負担,マスク着用の阻害要因,身体症状において,2つのステージ間に違いがみられる項目が存在した.入院日数およびマスク着用の促進要因においては,ステージ間で有意に異なる傾向が認められた.特に,マスク着用の阻害要因については,複数の項目において,ステージ間に差が認められた.今後は,看護師を中心とした医療スタッフが,促進要因を増強するだけでなく,阻害要因が存在していてもマスクを着用するよう意識づけるべきである.さらに,着け忘れを防止するような介入を行うことが好ましいと考えられる.