著者
扇澤 敏明
出版者
一般社団法人 色材協会
雑誌
色材協会誌 (ISSN:0010180X)
巻号頁・発行日
vol.88, no.2, pp.44-50, 2015-02-20 (Released:2015-05-20)
参考文献数
19

実用化されている接着剤のほとんどは高分子を主成分としている。それゆえ,高分子どうしを混ぜる場合も多く,その特性の向上のためには高分子間の相溶性に関する知見はたいへん重要である。また,相溶性は界面現象に大きく影響を及ぼし,接着界面を理解するうえでも重要となる。本稿では,高分子間の相溶性に関して簡単に説明し,それに関連する現象をいくつか取り上げて紹介する。
著者
An Jung Bum 斎藤 拓 井上 隆 扇澤 敏明 BONG SUP Kim
出版者
The Society of Polymer Science, Japan
雑誌
高分子論文集 (ISSN:03862186)
巻号頁・発行日
vol.56, no.10, pp.635-638, 1999-10-25
被引用文献数
7

鋭敏色板を挿入しないで高分子球晶を偏光顕微鏡観察すると, 白黒のコントラストでマルテーゼクロスが見られるのが一般的である. これに対して, ポリトリメチルテレフタレート (PTT) 球晶は色板なしでも緑色や青色などの美しい干渉色からなる偏光顕微鏡像を与えることを見いだした. Michel-Levyによる干渉色図を用いて複屈折△<I>n</I> (球晶の半径方向の屈折率と接線方向のそれとの差) を評価したところ, それが約0.065と極めて大きいための発色であることがわかった. さらに, 球晶の中心から半径方向への干渉色の変化が見いだされた. これは, 球晶内の△<I>n</I>が一定ではなく, 中心から離れるに伴い増大するためであり, 球晶が秩序性を増大しながら成長したことを示唆していると考えられる. これまでに例のないこのような鮮やかで美しい偏光顕微鏡像を与えるPTTは球晶組織形成機構の解明という未解決問題を研究する上での有用なモデル試料として注目される.