著者
手嶋 無限
出版者
一般社団法人 日本静脈経腸栄養学会
雑誌
日本静脈経腸栄養学会雑誌 (ISSN:21890161)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.781-784, 2015 (Released:2015-06-20)
参考文献数
10

地域包括ケアにおいて,薬局は物品の供給の一つとして,特に一般用医薬品や関連する医療材料・衛生材料を安定供給する機能を強化していくことで,地域の中で物とともに関連する情報を提供できる機能が求められている.在宅栄養管理に必要なディバイスの知識はチームケアを行う上で必要な知識となり,チームケアの質の強化に繋がることで,より良い療養生活の支援になることが期待されている.医療材料・衛生材料の供給には様々な課題があり,地域の実情に合わせた供給システムの構築や診療報酬の変化など動き出している.チームケアに携わるスタッフが在宅栄養管理に必要なディバイスへの理解を深めることは重要と考える.地域の中での医療材料・衛生材料の物流や各種ディバイスの情報を基に在宅療養支援における使用の実態を含め考察する.
著者
手嶋 無限
出版者
長崎大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2009

臨床では複数の点眼薬を併用する場合が多いにも関わらず、点眼薬併用時の眼組織膜への障害性に関する系統的な研究は少なく、安全性についての合理的な情報はほとんどない。そのため、臨床における市販点眼薬使用時の角膜障害性を予測・評価することに加え、点眼薬併用時の眼組織への障害性を低減できる処方・製剤設計の検討は重要である。本研究では、ヒトの涙のターンオーバーを再現した系として、電気生理学的実験法を考案し、角膜電気抵抗値を指標として、臨床での点眼薬適用時の各種成分をスクリーニングした。臨床において、緑内障は、長期の点眼治療が必要となる場合が多く、安全に使用していくことは重要となる。そこで、本研究では、抗緑内障点眼薬を用いて、原因となる物質の同定やtight junctionを中心とした作用機構を調べた。その結果、保存剤であるベンザルコニウム塩酸塩(benzalkonium chloride;BAC)濃度が角膜電気抵抗値に大きく影響し、低濃度の場合には主成分の種類にも影響されることを明らかにした。また、2種類の抗緑内障点眼薬を併用する場合、点眼順序を考慮することで、角膜障害を低減できることが示唆された。さらに、角膜保護点眼薬(精製ヒアルロン酸ナトリウム点眼液、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム点眼液)を先行して使用することで、抗緑内障点眼薬による角膜障害が改善できることが確認された。本研究は、臨床と基礎研究を結ぶリサーチであり、点眼剤を併用する場合、点眼順序や角膜保護点眼薬の併用が、有害事象低減に有用な処方・製剤設計に繋がることを示唆しており、今後より詳細な検討は必要ではあるものの、重要な知見を得ることができた。`