著者
押切 康子 杉澤 秀博
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.85-91, 2018-09-20 (Released:2018-09-26)
参考文献数
14
被引用文献数
1

目的:多剤併用の高齢患者の服薬に対する不安とその関連要因を明らかにすることである.方法:慢性疾患で定期的に6剤以上処方されている65歳以上の患者9名に半構造化面接を行った.この質的データをSteps for Coding and Theorizationを用いて分析した.<>は概念,≪≫はコンポーネントを示している.結果:服薬に対する不安の要因には≪医療職の支えの欠如≫と≪薬剤についての否定的な経験・理解≫があった.他方,<服薬の自己調節>と<医師への訴え>という≪不安への対処の試み≫を行った人は不安をもっていなかった.不安を抱かなった人では≪医療職の支え≫と≪多剤併用の肯定≫が不安を抑制するように働いていた.結論:多剤併用を受けている高齢患者の服薬への不安は服薬の自己調整につながる可能性があることから,医療職は多剤服用に対する患者の不安を理解し,解消に向けての働きかけが必要である.