著者
馬場 裕 安念 君枝 押木 康江 川井 美和
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国立大学教育人間科学部紀要. I, 教育科学 (ISSN:13444611)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.125-137, 1998-11

教育実習や研究授業などで現職の教師と接していくにつれ, 小学校, 中学校, 高等学校の教師の性格にはそれぞれの特長があるのではないかと感じられた。例えば, 小学校教師の特長としては, 「子供好きである」とか「人間的な触れ合いを重視する」などが感じられたし, 中学校教師の特長としては, 「相手の悩みを理解できる」とか「教え方がうまい」などが感じられた。そこで本稿では, 小学校, 中学校, 高等学校の教師にはそれぞれの学校の教師としての性格の特長があるかどうかを調査し, 数量化II類を用いて分析した。小・中・高の3つの校種の現職教員に, 性格に関するアンケート調査を行い, 数量化II類により3つの群に分類した結果, 群の重心には明らかな差があり, さらに, かなり高い判別的中率を得ることができた。すなわち, 3つの校種の教師の性格には明らかな差があるという結論を得ることができた。また, 小・中・高の各校種の教職志望の学部学生に, 現職教師と同じアンケート調査を行い, 現職教員のデータから作った判別式を用いて判別した結果, 判別的中率はかなり低かった。このことから, 自分の性格に適した職種を選ぶのではなく, 教師になった後に仕事の内容や職場に適するように性格が変化していくのでないかと思われる。