著者
北田 悠一郎 藤原 大樹 小野 秀高 馬場 裕之 阿部 哲夫 杉田 光隆
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.79, no.8, pp.1753-1757, 2018 (Released:2019-02-28)
参考文献数
11

症例は87歳,女性.肝細胞癌に対して計2回の肝動脈化学塞栓術(transcatheter hepatic arterial chemo embolization: 以下TACE)を施行し経過良好であった.しかし,3回目のTACEにてリピオドール(一般名: ヨード化ケシ油脂肪酸エチルエステル)を用いて動脈塞栓を施行したところ,胆嚢へのリピオドール沈着が疑われ,直後に心窩部痛を認めた.翌日施行した腹部単純CTにて,胆嚢壁へのリピオドール残存を示唆する高吸収域,胆嚢周囲脂肪織濃度上昇,腹水を認めた.リピオドールによる胆嚢動脈塞栓に伴う急性胆嚢炎と判断し,開腹胆嚢摘出術を施行した.病理所見にて全層性の壊死を認め,壊疽性胆嚢炎と診断した.術後経過良好で術後12日目に退院した.リピオドール使用後の壊疽性胆嚢炎の報告は少なく,若干の文献的考察を加えて報告する.
著者
馬場 裕子 木竜 徹 山崎 健
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.48-54, 2007 (Released:2008-06-05)
参考文献数
20

AIM: We investigated the differences in the occurrence of muscle fatigue depending on the contraction type and relationship between muscle fatigue and strength improvement with surface EMG (SEMG). In practice, for short-term resistance training, we studied a personally customized process for individuals. PROTOCOL: Sixteen healthy male subjects (21-23 yr-old) participated in this research. Squat exercise was preformed two times per week for six consecutive weeks. A one-day session consisted of three sets of 12 strokes. We measured the knee joint angle (KJA) with a flexibility goniometer and the muscle activity of the vastus lateralis with SEMG in each stroke of the squat exercise. Each stroke was divided into concentric and eccentric contractions referring to the KJA. SEMGs were evaluated using the average rectified value (ARV) and mean power frequency (MPF). RESULTS: For the eccentric contraction, muscular strength increased regardless of muscle fatigue. However, increasing muscular strength (r=0.49, p<0.10) correlated with the ratio of muscle fatigue occurrence for the concentric contraction. Focusing on the concentric contraction, we devised a personally customized process with the time-varying behavior of muscle fatigue. As a result, muscular strength improvement could be effectively evaluated using SEMGs.
著者
岡本 都 越智 友梨 久保 亨 杉浦 健太 宮川 和也 馬場 裕一 野口 達哉 弘田 隆省 濵田 知幸 山崎 直仁 北岡 裕章
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.53, no.4, pp.386-392, 2021-04-15 (Released:2022-04-18)
参考文献数
15

Eclipseとは天体現象である日蝕や月蝕の‘蝕’を意味する.近年,左室駆出率が保たれた患者に,明らかな誘因なく一過性にごく短時間生じる急性機能性僧帽弁逆流の報告がなされ,Eclipsed mitral regurgitation(MR)と称されている.症例は60歳代女性.突然の胸部不快感にて救急受診した.来院時,心電図にて広範な誘導でのST低下を認め,また高感度心筋トロポニンTが0.131 ng/mLと上昇していた.心エコー図では左室駆出率は保たれていたが,左室基部に限局した全周性の壁運動低下および新規の重症MRを認めた.冠動脈造影では有意狭窄病変は認めなかった.ニトログリセリン持続投与開始後,胸部症状は消失し,翌日には心電図変化,心エコー図での左室基部の壁運動異常およびMRともに消失していた.以後も胸部症状や心電図変化,MRの再燃なく経過し,2週間後の外来時には高感度心筋トロポニンTも正常値となっていた.本症例の病態として,たこつぼ症候群(Basal type)や冠攣縮性狭心症の可能性も考慮されるが,いずれも典型的とはいえず,その臨床像および経過はEclipsed MRの報告例と酷似していた.Eclipsed MRは稀な病態ではあるが,重症例や再発例の報告もあり,本疾患の存在を理解しておくことは重要と考え,ここに報告する.
著者
馬場 裕 小林 智也 小倉 加奈代 西本 一志
出版者
情報処理学会
雑誌
インタラクション2012論文集 (情報処理学会シンポジウムシリーズ) (ISSN:13440640)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.3, pp.433-438, 2012-03-15

日常行われている会話には,様々な問題点がある.たとえば失言や重要な話の聞き逃しは,人間関係を悪くしてしまう危険性がある.これらは,空気中の音速で声が人間の何百倍の速さで移動する事が要因と考えられる.音速を遅くすることで,音声に追いついたり音声の重畳や参照をすることが可能になる.そこで,超低音速空間 CreepingVoice を構築し,会話の問題解決を試みている.本稿では,超低音速空間CreepingVoice を実装するための基礎的な実験の結果について報告する. : Everyday conversations have various problems. For example. a slip of the tongue spoils human relations. This problem is attributable to the speed of sound. Sound is too fast for us people to catch up. If the sound speed is much slower, we can catch up with our voice,modify it and refer it. We have been constructing a super slow sound space “CreepingVoice” to solve the problems. This paper reports results of elemental experiments for implementingCreepingVoice.
著者
馬場 裕 安念 君枝 押木 康江 川井 美和
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜国立大学教育人間科学部紀要. I, 教育科学 (ISSN:13444611)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.125-137, 1998-11

教育実習や研究授業などで現職の教師と接していくにつれ, 小学校, 中学校, 高等学校の教師の性格にはそれぞれの特長があるのではないかと感じられた。例えば, 小学校教師の特長としては, 「子供好きである」とか「人間的な触れ合いを重視する」などが感じられたし, 中学校教師の特長としては, 「相手の悩みを理解できる」とか「教え方がうまい」などが感じられた。そこで本稿では, 小学校, 中学校, 高等学校の教師にはそれぞれの学校の教師としての性格の特長があるかどうかを調査し, 数量化II類を用いて分析した。小・中・高の3つの校種の現職教員に, 性格に関するアンケート調査を行い, 数量化II類により3つの群に分類した結果, 群の重心には明らかな差があり, さらに, かなり高い判別的中率を得ることができた。すなわち, 3つの校種の教師の性格には明らかな差があるという結論を得ることができた。また, 小・中・高の各校種の教職志望の学部学生に, 現職教師と同じアンケート調査を行い, 現職教員のデータから作った判別式を用いて判別した結果, 判別的中率はかなり低かった。このことから, 自分の性格に適した職種を選ぶのではなく, 教師になった後に仕事の内容や職場に適するように性格が変化していくのでないかと思われる。
著者
馬場 裕典 吉良 今朝芳 枚田 邦宏
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿兒島大學農學部學術報告 (ISSN:04530845)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.57-66, 1996-03-31
被引用文献数
3

1994年の屋久島の登山届(2,391部)を用いて, 登山者の構成, 登山の目的, 登山道入口の利用状況および登山の安全性について集計した.その結果, 以下のことが明らかになった.1.延べ登山者数は7,263人であった.登山者の構成は, 性別では男性が全体の70.2%, 年齢別では20歳代が全体の43.5%と大きなかたよりがある.2.登山の目的は縄文杉(64.3%), 宮之浦岳の(62.8%)の2カ所が主な目的地である.また登山道入口に関しては淀川登山口が39.4%, 白谷登山口が30.0%, 荒川登山口が24.8%であり, この3登山口で全体の94.2%であった.特に荒川登山口を利用した登山者のうち縄文杉のみを目的地とした登山者は80.7%であり, 同登山口は縄文杉のみの登山者が利用する傾向がある.3.登山の安全性についてみてみると, 装備品においてはシュラフ(寝袋)を装備していない登山パーティーが宿泊登山パーティー全体の10.3%であった.またテントを装備していない登山パーティーは39.6%であった.全登山パーティーのうち30.1%が下山連絡を行っているにすぎなかった.
著者
馬場 裕
出版者
公益社団法人日本オペレーションズ・リサーチ学会
雑誌
Journal of the Operations Research Society of Japan (ISSN:04534514)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.12-32, 1983-03

集団到着や集団サービスの待ち行列は、今までに数多く研究されているが、そのほとんどは到着間隔分布があるいはサービス分布を指数分布としたものである。本論文では集団到着待ち行列PH^<〔x〕>/PH/1(ただし、到着集団のサイズは共通の確率分布{g_i}^<K>_<i=1>に従う)と集団サービス待ち行列モデルPH/PH^<〔Y〕>/1(ただしサーバーはK人一緒にサービスできるが、サービス終了後の待ち人数がK人未満ならば全員一緒にサービスする)について定常ベクトルや種々の特性量を得るアルゴリズムを提案する。記号PHはNeutsによって考えられた相型分布を表わす。相型分布は(O、∞)における確率分布のクラスの中で楯密であり、待ち行列理論でよく現われる重要な分布、例えば、指数分布、一般アーラン分布、超指数分布等を含んでいる。また相型分布は数値計算を行ううえでも扱いやすい。Neutsは無限次元確率行列のある重要なクラスが行列幾何的な定常ベクトルをもつことを示した。本論文で扱うモデルは待ち行列の状態遷移が連続時間マルコフ連鎖に従い、その無限小作用素の形は状態の組みかえによって行列幾何的な定常ベクトルをもつことが示される。この性質を用いて定常分布やそれから得られる種々の特性量、例えば、待ち行列長の平均、分散、平均待ち時間、待ち率等が得られる。これらの特性量は簡単な計算式で求められることが示される。またいくつかの数値例を示した。これらより集団待ち行列の種々の興味深い特性が得られた。