著者
貴島 晴彦 押野 悟 吉峰 俊樹
出版者
日本脳神経外科コングレス
雑誌
脳神経外科ジャーナル (ISSN:0917950X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.3, pp.229-235, 2016 (Released:2016-03-25)
参考文献数
30

非痙攣性てんかん重責 (NCSE) は, 高齢者人口の増加に伴いその発病頻度が増加していると考えられている. NCSEは治療予後が良好でないケースも多く, また致死率も高い. しかし, その症状や脳波所見は多彩であり, また原因となる疾患も神経疾患や代謝性疾患もあり幅広い. 臨床症状と脳波所見が診断の中心となるが, その定義やガイドラインは確立されていない. 本稿では, NCSEの理解を深めるため, その疫学, 原因疾患, 診断, 治療を概説するとともに, 日常診療で遭遇した1例を提示する.
著者
谷 直樹 押野 悟 細見 晃一 Khoo Hui Ming 貴島 晴彦
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.760-768, 2021-07-10

Point・本態性振戦に対する定位的外科治療法として,脳深部刺激療法,高周波視床凝固術,集束超音波視床破壊術,ガンマナイフ視床凝固術が利用できる.・破壊術,刺激術ともに視床中間腹側核(Vim核)が標的核であるが,刺激術ではposterior subthalamic area(PSA)も有力な標的核となる.・刺激術はRCTの結果より凝固術と比べ効果・安全性に優れると考えられるが,近年,凝固術の技術的な進歩がみられる.
著者
松本 勝美 赤木 功人 安部倉 信 大川 元久 田崎 修 押野 悟
出版者
医学書院
雑誌
Neurological Surgery 脳神経外科 (ISSN:03012603)
巻号頁・発行日
vol.27, no.9, pp.831-835, 1999-09-10

I.はじめに 喫煙は血管の動脈硬化を促進し脳卒中のリスクを増加させる2,14,17,21).なかでも喫煙とくも膜下出血との関連性はmeta analysisでみると脳出血や脳梗塞に比べさらに強く,喫煙者のくも膜下出血の発症は非喫煙者の29倍となる14).Weir(1998)らのcooperative studyでは,喫煙者のくも膜下出血の発症率の上昇に加え,発症率と喫煙量が比例し,脳血管攣縮を合併する率が非喫煙者にくらべより高いという結果になった20).一方,くも膜下出血の原因となる脳動脈瘤がどう形成され破裂するかについては,hemodynamic factorや,中膜欠損,高血圧の影響など複数の要因が提唱されている7,11,18)が,喫煙がどう影響するかのメカニズムについてはいまだに解明されていない.また喫煙が動脈瘤の形成に関与するのか,破裂に関与するのかも明確ではない.今回くも膜下出血例および未破裂脳動脈瘤症例について,脳ドック受診者で動脈瘤が否定された症例をコントロールとし喫煙率の違いについて調査した.本研究の結果について喫煙が動脈瘤の形成や破裂に及ぼす影響について文献的考察を加え検討した.