著者
芳住 邦雄 斉藤 栄一
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.55, pp.183, 2003

<目的> 廃棄物として処理される布団は年間1000万枚にも及ぶと推定される。循環型経済杜会の構築に寄与するための一つとして、布団の洗浄を行い3Rに貢献することが考えられる。一方では、清潔な就寝環境を得るために布団を洗いたいとの要求には根強いものがある。本研究は、布団を家庭用洗濯機で洗浄する際の使い勝手および乾燥特性を明らかにすることを目的としている。形状および充填量、中ワタの素材による影響を検討し、洗える布団を設計するに資する情報を得ることに主眼を置いている。<実験方法> 1)実験用布団:中綿に(1)ウォッシャブルポリエステル100%(2)ウォッシャブルウール100%(3)通常ウール50%・通常ポリエステル50%(4)通常ポリエステル100%(5)綿100%を用いて、クッション・サイズおよび幼児用サイズの布団を試作した。2)洗濯方法:市販7Kg用洗濯機を用いて、洗剤を加えて通常の洗濯プロセスにより自動運転した。最終的には、自動により脱水を行った。3)乾燥過程の測定:電子天秤を用いて重量を測定し、その減少量を以って、洗濯後の水分乾燥量とみなした。クッション・サイズについての乾燥実験は、実験室内で行いデータは1分間ごとに記録した。幼児用サイズでは、屋外にて乾燥実験を実施し、1時間おきに重量を測定した。<結果と考察> 中ワタの素材による乾燥特性の相違を、濡れ率={(濡れ時重量)-(乾燥重量)}/(乾燥重量)で定義して比較した。乾燥性はクッション・サイズおよび幼児用サイズの両実験に共通して、総合的に下記の順で良いことが明らかとなった。綿100%>ウォッシャブルポリエステル100%>通常ウール50%通常ポリエステル50%>ウォッシャブルウール100%>ポリエステル100%幼児用サイズにおいては中ワタ量によっては、家庭用洗濯機で洗うには困難が伴うことが実験結果から判断された。洗い勝手を考慮して敷布団構成は、二枚重ねにする必要があると結論した。直接肌に触れる上部敷布団は、肌にやさしい天然素材でかつ吸収性のある綿100%とし、その下側に透湿性および乾燥性に利点のあるウォッシャブルボリエステル100%を使用することとした。中ワタ重量を0.5kgにし再び乾燥実験を行った。冬期でも晴れの天候下では乾燥可能なことを確認出来た。以上の結果から、自動洗濯機で充分脱水するならば、上述の組み合わせは、洗える布団の構成として実用的に供しうると結論された。