著者
斎川 加奈恵 仁平 義明
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2015, pp.108, 2015

  本研究では,顔と よくある名前の対連合学習成績に,「似顔絵を描く」,「顔の特徴を言葉で表現する」などの,顔を記憶するための方法がどう影響するか検討した.実験では,「顔」写真とその下部に書かれた“よくある名前”を連合させて記憶する,3つの条件群が比較された。結果では,まず,似顔絵を描くと「氏&名」の正確な記憶をしないことが明らかになった。多重比較では,「似顔絵を描く」条件は「じーっとよく観察して記憶する」条件に比べて有意に記憶成績が低かった.似顔絵を描くことは,名前情報処理のための資源配分を減少させることになり,記憶成績を低下させると考えられた.さらに,似顔絵を描くことが氏名の記憶を阻害することを別な面から確認するために,似顔絵の上手さと氏名の記憶成績の関係が分析された.その結果,最後まで正しい氏名を想起できなかった刺激数(「無答数」)と上手さには,中程度の負の相関が見られた.