著者
斯波 弘行
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.66, no.10, pp.735-743, 2011-10-05 (Released:2019-06-14)
参考文献数
48

超伝導の理論はカマリング・オネスによる発見から40数年間の実験研究の上に提出されたギンツブルクとランダウの超伝導の現象論(GL理論,1950年)とバーディーン,クーパー,シュリーファーの超伝導のミクロな理論(BCS理論,1957年)の2つの画期的な仕事によって基礎が築かれた.その後の半世紀にこれらの理論の深化,拡大が進み,超伝導のメカニズムについての現在の理解はBCS理論直後とはずいぶん違っている.また,物性科学の他の問題との接点へ研究者の目が向きつつある.この小論では超伝導現象の理解に向けた現在までの理論研究を(1)超伝導はなぜ多くの物質で普遍的に起こるのか,(2)超伝導にはどれほどの多様性があるのか,それは物性物理の他の分野の発展とどのように関係しているか,の2つの観点から整理したい.
著者
斯波 弘行
出版者
物性研究刊行会
雑誌
物性研究 (ISSN:05252997)
巻号頁・発行日
vol.79, no.3, pp.356-385, 2002-12-20

この論文は国立情報学研究所の電子図書館事業により電子化されました。講義
著者
斯波 弘行
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.95-101, 2005-02-05 (Released:2008-04-14)
参考文献数
50

近藤効果と超伝導は,共に,金属が低温で示す現象である.磁性不純物の電子と金属の伝導電子とがスピン一重項を形成して,低温において磁性不純物のスピンが消失するのが近藤効果である.一方,超伝導状態では伝導電子同士がクーパー対(それは,多くの場合,スピン一重項である)を形成し,それがボーズ凝縮している.したがって,超伝導体と相互作用している磁気モーメントは互いに競合的に影響し合う.この競合関係は近藤温度TKと超伝導転移温度Tcという両者の特徴的温度の大小関係により整理できる.この解説では(1)超伝導体中の磁性不純物の電子状態,(2)量子ドットを介して接する二つの超伝導体間のジョセフソン効果への近藤効果の影響,の二つの問題を取り上げ,近藤効果と超伝導の関係を概観する.