- 著者
-
矢野 啓明
高橋 伸佳
斯波 純子
旭 俊臣
- 出版者
- 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会
- 雑誌
- 高次脳機能研究 (旧 失語症研究) (ISSN:13484818)
- 巻号頁・発行日
- vol.32, no.2, pp.312-319, 2012-06-30 (Released:2013-07-01)
- 参考文献数
- 9
FAST (Functional Assessment Staging) 6 および 7 に相当する重度認知症患者を対象とした, 新たな簡易心理評価スケール (Psychological Assessment Scale by Facial Expression for DementedPeople-Interview version : PAFED-I) を作成し, その信頼性と妥当性について検討した。PAFED─I は, 視線の変化に関する 18 項目 (視線得点) と表情の変化に関する 12 項目 (表情得点) から成り, 検者が個別に面接を行い, 各項目を評価した。FAST 6 の患者群では, 視線得点, 表情得点ともに高い内的整合性と評定者間一致率を示し, 信頼性は十分と考えられた。また, 標準意欲評価法 (CAS) との有意な相関がみられた。FAST 7 の患者群では, 視線得点で十分な信頼性と CAS との有意な相関がみられた。PAFED-I は, 重度認知症患者の意欲・自発性を評価する簡易スケールとして有用と考えられた。