著者
新井 俊彦
出版者
一般社団法人 日本総合健診医学会
雑誌
総合健診 (ISSN:13470086)
巻号頁・発行日
vol.33, no.6, pp.564-578, 2006

各種肥満度の指標と健康度の指標である生理学的・生化学的・血液学的検査値の相関を調べ, 相互の指標間の関係を明らかにすることを試みた。40歳から60歳まで男女85名の身体計測値, 体脂肪率, CTによる体脂肪分布値, 体組成解析値, 代謝解析値および臨床検査値を求めて, Microsoft Excelに記録し, 各指標値の相関係数を求めて, 各指標問の関係を考察した。中性脂肪が内臓脂肪の蓄積を起こし, インスリンは皮下・内臓いずれの脂肪も同等に増やすことが示された。男性では別の要因が関与するために明かではないが, 女性では, 内臓脂肪の増加が肝障害を起こすこと, 皮下脂肪の増加が腎機能の低下の原因になっていること, 血糖値の増加は内臓脂肪のみの増加を起こすことが分かった。簡易な肥満の指標とされているウエスト, ウエスト/ヒップおよびウエスト/身長ではウエストが最も良く脂肪量と相関するが, 皮下脂肪量を最も良く反映して, 内臓脂肪を良く反映する指標ではないことが分かった。エネルギー代謝率および消費カロリーは脂肪量とは相関せず, 体重とのみ相関し, 消費されるものが脂肪か炭水化物かは無関係であることが分かった。血圧も男性では別の要因に隠されて明かではないが, 内臓脂肪量の増加は血圧を上昇させ, 皮下脂肪量の増加は低下させる効果があることが示唆された。LDLコレステロールが最も相関したのはbody mass indexであった。
著者
新井 俊彦
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.168-173, 1999-08-01 (Released:2012-08-27)
参考文献数
8
被引用文献数
1

肥満の指標として,肥満度,BMIおよび体脂肪率が用いられている。肥満度とBMIは相関が良いのでどちらか一方でよいが,体脂肪率は個々の体重の特徴を知るために必要であることを示した。また,肥満と高血圧,高尿酸血症,肝障害,高脂血症,糖尿病のように,それぞれの疾患の患者での集計から結論された事象は,ほとんど正常な人間ドック受診者の成績解析でも得られることが判った。更に,些細に疾患としての関係が解析されていないものについても解析できた。
著者
Ullah Arshad 新井 俊彦
出版者
The Japanese Society of Fish Pathology
雑誌
魚病研究 (ISSN:0388788X)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.65-70, 1983
被引用文献数
9 56

病魚から分離されたEdwardsiella tarda株について,病原性に関与しうる生物活性の有無をしらべた。まず,付着性および細胞侵入性をしらべたが特異な活性を決定することはできなかった。ただ,菌体周囲にスライムを作る株の存在が確かめられた。また,すべての菌株は菌体から遊離しない溶血活性をもつことが見出されたが,大腸菌にみられるような腸管毒素や,タンパクやリン脂質を分解する酵素活性はみられなかった。しかし,これらの既知の活性とは別に,機能的に区別できる2つのウサギの皮膚に対し壊死毒性をもつ物質を細胞外に生産していることが見出された。これは,すべての分離株が共通に産生している唯一の強力な組織傷害性外毒素物質であるから,病原因子として働いている可能性が高い。