著者
山田 佐知 明石 行生 安倍 博 野口 公喜 新井 奈津美 角田 麻衣 渡邊 嘉朗 飯郷 雅之
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集 平成21年度(第42回)照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
pp.66, 2009 (Released:2010-01-08)

睡眠障害を含む生体リズム障害の治療法としては,早朝に高照度(≧2500 lx)の白色光を浴びる,光療法が有効とされている.一方,1日を周期に持つ概日リズムに深く関連するメラトニン分泌を,低照度の青色光が抑制する効果が発見された.このことから本研究は,早朝の低照度青色光照射で,日中の覚醒と夜間の良質な睡眠を促し,生体リズム障害を予防・緩和することを目指し,青色光の覚醒と概日リズムへの影響を検証する実験を行った. 光照射実験には,白色照明(蛍光灯)と青色LEDを内蔵する照明器具を使用した.照明条件は,白色照明のみと,それに青色照明を加えた条件の2条件とした.各条件で1週間に1条件,2日間連続して実験を行った.光照射は8:45~10:15とし,1日を通した被験者のコルチゾール濃度,体温,眠気申告,活動量の測定を行い,概日リズムと覚醒度を評価した. 実験結果から,青色照明下の方が白色照明下より授業中の覚醒度が向上し,青色光の日中の覚醒の持続も確認できた.また,青色照明を照射した日の方が夜間活動量を低下させた.このことから,青色光が日中の覚醒と活動量を向上,夜間の活動量を低下させ,メリハリのある睡眠・覚醒リズム形成を促すことが明らかになった.