著者
王 麗楊 用稲 栄 寒川 昌平 山田 佐知子 桑原 隆
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.103-107, 2018 (Released:2018-01-28)
参考文献数
16
被引用文献数
3

カルシウム (Ca) の生理学的効果は, イオン化Ca (iCa) 濃度によって決定されるが, iCaは日常的には測定されていない. 日本では血清アルブミン (Alb) 濃度を用いて血清総Ca (tCa) を補正した補正Ca (cCa) が広く用いられている. 今回われわれは, 低Alb血症の血液透析患者で現在用いられている補正式 (Payneの式およびKDOQI-1式, KDOQI-2式) が適切かどうかを検討した. 血液透析患者41名のうち, 血清Alb 3.7g/dL未満であった33名で, iCaとtCa, cCaの相関を比較検討した. AlbはBCP改良法で測定し, 測定値に0.3g/dL加えた値をBCG法の推測値として用いた. cCaとiCaとの相関係数はKDOQI-1式が最も高く, 次いでtCa, KDOQI-2式となり, Payneの式との相関が最も低かった. KDOQI-2式, Payneの式は低Ca血症の見逃しが多く, 偽性高Ca血症も2例認めた. 一方, tCaでは偽性低Ca血症を7例認めた. 低Alb血症患者のiCaに対応したtCaの推定にはKDOQI-1式によるAlb補正Ca濃度評価が勧められる.
著者
桑原 隆 王 麗楊 谷野 彰子 山田 佐知子
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.9, pp.457-463, 2021 (Released:2021-09-28)
参考文献数
20
被引用文献数
1

【目的】血液透析(HD)患者のカルシウム(Ca)濃度評価に適したCa値はイオン化Ca(iCa),総Ca(tCa),アルブミン(Alb)補正Caいずれかを検討する.【方法】HD患者43名に透析前後の総Ca,K/DOQI‒1式からAlb補正Ca(KDOQI‒Ca),tCaに対するpH補正iCa(pH‒iCa)の割合(Caイオン化率:CaIR)からのAlb補正Ca(CaIR‒Ca)とpH‒iCaの関係を求めた.【結果】HD前/後のAlbとCaIRの関係は,-0.011*Alb+0.558(r=0.199,p>0.2)/-0.031*Alb+0.655(r=0.720,p<0.0001)であり,HD前/後のpH‒iCaとtCa,KDOQI‒Ca,CaIR‒Caの相関係数(r)は,0.862,0.846,0.859/0.482,0.460,0.282であった.HD後のpH‒iCaとtCaの関係の減弱はHDによるCa結合Alb濃度の上昇が透析液から血漿へのiCa移動を妨げるため生じたと思われる.【結論】HD前のCa濃度評価は,iCa,tCa,KDOQI‒Ca,CaIR‒Caいずれでも良いが,HD後のCa濃度評価にiCaは適さない.
著者
王 麗楊 用稲 栄 寒川 昌平 谷野 彰子 山田 佐知子 桑原 隆
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.51, no.10, pp.617-620, 2018 (Released:2018-10-30)
参考文献数
9
被引用文献数
1

【目的】われわれはクロライドチャネル活性化下剤であるルビプロストンの透析患者に対する血清電解質に及ぼす影響を検討した. 【対象と方法】従来の便秘薬では効果のない慢性便秘症の血液透析患者7名に本薬を追加投与し, 血清電解質の変化を8週間検討した. 【結果】全例で排便の改善を認めたが, 1名が嘔気のため2週後に, 2名が下痢のため4週後, 6週後に内服を中止した. 血中リン濃度 (mg/dL) は, 投与2週後には, 5.8±0.9から5.1±0.8 (n=7, p=0.034) へと低下し, 4週後には継続した6名中5名, 8週後には4名全例で投与前より低い値を維持した. 中止例はすべて中止後リン値が上昇した. 投与前後2週間では, 収縮期血圧は変化を認めなかったが, 投与前除水困難の症例を除く6例全例で除水量が減少した. 【結論】ルビプロストンは慢性便秘症の透析患者の高リン血症を改善した.
著者
西口 健介 王 麗楊 寒川 昌平 山田 佐知子 桑原 隆
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.471-476, 2020 (Released:2020-09-28)
参考文献数
16
被引用文献数
1

血中カルシウム (Ca) 評価に血清総Ca (tCa) が使われるが, 低蛋白血症では評価が難しく, またCaの生理学的効果はイオン化Ca (iCa) によって決定されるので, iCaを測定すべきとされる. 透析 (HD) 患者の血清Ca管理目標範囲は8.4~10.0mg/dLであるが, iCaについては不明である. HD患者37名に透析前の定期検査時に全血をRAPIDLab1200 (SIEMENS) でガス分析を行い, 凍結血清のiCa, pHを外注検査委託した. AlbはBCP改良法で測定, 3.1g/dL以下, あるいは4.0g/dL以上のAlb補正CaをそれぞれKDOQI-1, KDOQI-2式で算出した. ガス分析, 外注検査pH補正iCaとAlb補正Caには, それぞれy=0.092x+0.300, r=0.807, y=0.132x+0.092, r=0.853の関係があり, Ca目標値8.4~10.0mg/dLに相当するiCaは, ガス分析で1.07~1.22mmol/L, 外注血清検査で1.20~1.41mmol/Lとなった.
著者
山田 佐知 明石 行生 安倍 博 野口 公喜 新井 奈津美 角田 麻衣 渡邊 嘉朗 飯郷 雅之
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集 平成21年度(第42回)照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
pp.66, 2009 (Released:2010-01-08)

睡眠障害を含む生体リズム障害の治療法としては,早朝に高照度(≧2500 lx)の白色光を浴びる,光療法が有効とされている.一方,1日を周期に持つ概日リズムに深く関連するメラトニン分泌を,低照度の青色光が抑制する効果が発見された.このことから本研究は,早朝の低照度青色光照射で,日中の覚醒と夜間の良質な睡眠を促し,生体リズム障害を予防・緩和することを目指し,青色光の覚醒と概日リズムへの影響を検証する実験を行った. 光照射実験には,白色照明(蛍光灯)と青色LEDを内蔵する照明器具を使用した.照明条件は,白色照明のみと,それに青色照明を加えた条件の2条件とした.各条件で1週間に1条件,2日間連続して実験を行った.光照射は8:45~10:15とし,1日を通した被験者のコルチゾール濃度,体温,眠気申告,活動量の測定を行い,概日リズムと覚醒度を評価した. 実験結果から,青色照明下の方が白色照明下より授業中の覚醒度が向上し,青色光の日中の覚醒の持続も確認できた.また,青色照明を照射した日の方が夜間活動量を低下させた.このことから,青色光が日中の覚醒と活動量を向上,夜間の活動量を低下させ,メリハリのある睡眠・覚醒リズム形成を促すことが明らかになった.
著者
山田 佐知 明石 行生 安倍 博 高橋 さえり
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.43, pp.58, 2010

季節性感情障害(SAD)は、主に高緯度の地域で、冬に日照時間が減少することが原因となってうつ症状を発症する病気である。福井をはじめとする日本海側の地方は冬に日照時間が他の地域に比べて減少する気候特性を持っている。福井大学工学部の学生には、冬の日照時間が福井よりも長い地域を出身市に持つものが大きな割合を占めている。このため、冬の日照時間の減少が原因となって、体調に影響を受けている学生がいるのではないかと考えられる。学生の睡眠とうつの状態を把握し、それが季節や出身地から影響を受けているかを調べることを目的として、夏と冬の2回、アンケートを行った。内容は、睡眠時間とうつの状態で、うつ評価にはSDS(Self-rating Depression Scale)スコアを用いた。また、調査用紙には、学生の出身地、学年、氏名を記入させた。夏と冬両方で回答を得た117名について、うつ状態であると判断されたのは夏21名、冬20名であり、季節による差はなかった。そのうち、10名は夏冬の両方でうつ状態を示していた。また、睡眠時間も夏と冬で差はなかった。また、冬にのみうつ状態と判定された学生10名のうち、7名は北陸地方の出身であり、出身地域と冬のうつとの明確な関係性を見出すことができなかった。しかし、夏冬両方でうつ状態を示した10名のうち8名は1年生であった。学生のうつ状態には日照時間や季節以外の原因が考えられる。
著者
山田 佐知 明石 行生 安倍 博 高橋 さえり
出版者
一般社団法人 照明学会
雑誌
照明学会 全国大会講演論文集 平成22年度(第43回)照明学会全国大会
巻号頁・発行日
pp.58, 2010 (Released:2011-02-01)

季節性感情障害(SAD)は、主に高緯度の地域で、冬に日照時間が減少することが原因となってうつ症状を発症する病気である。福井をはじめとする日本海側の地方は冬に日照時間が他の地域に比べて減少する気候特性を持っている。福井大学工学部の学生には、冬の日照時間が福井よりも長い地域を出身市に持つものが大きな割合を占めている。このため、冬の日照時間の減少が原因となって、体調に影響を受けている学生がいるのではないかと考えられる。学生の睡眠とうつの状態を把握し、それが季節や出身地から影響を受けているかを調べることを目的として、夏と冬の2回、アンケートを行った。内容は、睡眠時間とうつの状態で、うつ評価にはSDS(Self-rating Depression Scale)スコアを用いた。また、調査用紙には、学生の出身地、学年、氏名を記入させた。 夏と冬両方で回答を得た117名について、うつ状態であると判断されたのは夏21名、冬20名であり、季節による差はなかった。そのうち、10名は夏冬の両方でうつ状態を示していた。また、睡眠時間も夏と冬で差はなかった。 また、冬にのみうつ状態と判定された学生10名のうち、7名は北陸地方の出身であり、出身地域と冬のうつとの明確な関係性を見出すことができなかった。 しかし、夏冬両方でうつ状態を示した10名のうち8名は1年生であった。学生のうつ状態には日照時間や季節以外の原因が考えられる。