著者
米田 剛 横田 敏子 田野上 恭子 魚住 和代 新井田 孝裕
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.115-125, 2022 (Released:2023-03-10)
参考文献数
8

【目的】視能訓練士の各養成校が指導している眼科検査の結果の記録方法を把握することを目的に、全国の各養成校へアンケート調査を実施した。 【方法】全国視能訓練士学校協会に加盟している27校にアンケートを送付し、同意が得られた養成校のみ回答を依頼した。地域差を考慮するために、愛知県を含み西側を西日本、東側を東日本とした。アンケートの設問は、「視力・自覚的屈折検査」、「両眼視機能検査」、「9方向眼位検査」、「大型弱視鏡検査」、「眼位検査」の検査結果について具体的な症例を挙げ作成した。また、各検査結果の表記に関する項目を68項目設けて単純集計した。表記に関する項目で50%以上を占める記載があれば統一性が高い記録方法として評価した。 【結果】アンケートの回収率は74%(20/27校)で、東日本は55%(11/20校)、西日本は45%(9/20校)であった。表記で統一性が高い項目は、全体で82.4%を占めることがわかった。表記の統一性が低かった代表例として、眼鏡装用下の表記では、「PG」が43%、「jB」が35%、「KB」が22%であった。 【結論】本研究で調査した検査結果で表記の統一性がみられなかった項目は17.6%であった。統一性が低い表記については、学生が臨地実習や就職先で対応できるよう各養成校で記録方法を共有して指導することが望ましいことがわかった。
著者
鎌田 泰彰 原 直人 佐藤 司 新井田 孝裕
出版者
日本自律神経学会
雑誌
自律神経 (ISSN:02889250)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.139-143, 2020 (Released:2020-07-15)
参考文献数
19

遮光眼鏡の色が自律神経に及ぼす影響について瞳孔径と心拍変動から検討した.対象は青年健常者14名とした.遮光眼鏡にはグリーン,グレー,オレンジの3色を用いた.検査は暗室で行い,被験者には仰臥位で眼前30 cmに固定した高輝度ディスプレイ(iPad,9.7インチ)の白色背景中心の十字を注視させた.遮光眼鏡装用前,装用中,装用後の瞳孔径(赤外線瞳孔計,Newopto)と,心拍変動解析(Reflex名人,クロスウエル)による自律神経活動指標の測定を行った.瞳孔はグリーンの遮光眼鏡で装用前に比べ装用後に縮瞳した.また,3色すべての遮光眼鏡で装用中に比べ装用後に縮瞳した.オレンジの遮光眼鏡で装用前に比べ装用中に散瞳した.心拍変動解析では装用前,装用中,装用後のいずれも有意差がなかった.遮光眼鏡の色は瞳孔径に変化をもたらすが,心拍変動には影響がなかった.
著者
野上 豪志 佐藤 司 伊藤 美沙絵 新井田 孝裕
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.46, pp.217-223, 2017 (Released:2018-03-17)
参考文献数
13

【目的】コンタクトレンズによる角膜形状変化(Corneal warpage)は可逆的変化として知られており、屈折矯正手術前にはコンタクトレンズの装用を中止して角膜形状の安定に努めることが重要である。今回、ソフトコンタクトレンズ(SCL)装用中止後のCorneal warpageの持続期間について検討したので報告する。【対象及び方法】角膜表面に影響を与えるような眼疾患(外傷, 浮腫, 他)や眼科手術歴がなく、屈折異常をSCLで矯正している24眼(平均年齢21±2歳)を対象とした。角膜形状の測定は前眼部形状解析装置(TMS-5®、TOMEY)を使用して、SCL装用中止直後、10分後、30分後、1時間後、3時間後、24時間後、2日後、3日後、7日後、10日後、14日後、21日後におこなった。【結果】平均角膜屈折力はSCL装用中止直後から3時間後まで増加傾向を認め(p < 0.01)、21日後には平均0.15D(0.01~0.50D)の急峻化が認められた。角膜乱視量、角膜全高次収差量、角膜厚は調査期間中に有意な変化が認められなかった。【結論】SCL装用眼ではSCL装用中止後3時間までCorneal warpageの持続が認められた。
著者
望月 浩志 大谷 優 大森 沙江子 吉田 美沙紀 渡辺 楓香 藤山 由紀子 新井田 孝裕
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
日本視能訓練士協会誌 (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.73-79, 2018 (Released:2019-03-08)
参考文献数
15

【目的】斜視や弱視で通院中の患児における三歳児健康診査(以下、三歳児健診)の判定状況を調査した。【対象および方法】斜視や弱視によりA病院に通院中の患児30名(男16名・女14名、年齢9.1±3.2歳)の保護者に、三歳児健診で眼科医療機関への受診(3次健診)を勧められたか、勧められなかった場合の眼科受診のきっかけについて聞き取り調査を行った。調査結果と患児の視機能の関係を検討した。【結果】30名中24名(80.0%)は三歳児健診で3次健診を勧められていなかった。勧められなかった24名のうち斜視は15名で、内訳は内斜視5名、外斜視2名、間欠性外斜視7名、上斜視1名であった。24名のうち弱視は13名(斜視と重複含む)で、内訳は屈折異常弱視4名、不同視弱視5名、斜視弱視4名であった。斜視15名の眼科受診のきっかけは、保護者の気づきや保育園や幼稚園教員の指摘11名、保育園や幼稚園、小学校での健診を含む3歳以降の健診4名であった。斜視弱視を除く弱視9名の受診のきっかけは、保育園や幼稚園教員の指摘2名、3歳以降の健診7名であった。【考按】所管する市町村によって携わる医療職や健診内容に差があるが、本調査では斜視や弱視を有する患児の80.0%は三歳児健診で3次健診を勧められていなかった。1次および2次健診の精度向上をめざし、屈折検査の導入などの視機能異常の検出方法の改善や視能訓練士などの眼科専門職の参加が必要であると考える。
著者
三柴 恵美子 平塚 英治 小町 裕子 鈴木 賢治 新井田 孝裕
出版者
公益社団法人 日本視能訓練士協会
雑誌
Japanese orthoptic journal (ISSN:03875172)
巻号頁・発行日
vol.39, pp.233-238, 2010-12-29
参考文献数
8
被引用文献数
1

<B> 目的:</B>ロービジョン者がどのくらい視覚補助具を保有しているのか、またそれらを有効利用できているか、もしできていないならその要因は何かということを検討するため、JRPS(日本網膜色素変性症協会)栃木県支部の協力を得て、アンケート調査を行った。<BR><B> 対象と方法:</B>対象は、JRPS栃木県支部会員49名のうち、回答のあった29名である。方法は、ロービジョン者用にアンケート形式を工夫し、郵送にて行った。<BR><B> 結果:</B>保有視覚補助具数は、平均3.6種類だった。遮光眼鏡、白杖、携帯用ルーペ、拡大読書器の順で多かった。視覚補助具の有効利用に影響する因子として、使い方が簡単である、眼の状態に合っている、説明や訓練を受けたことがあげられた。一方、有効利用を妨げている要因としては、眼の状態に合わない、説明や訓練の不足であった。病院,眼鏡店,市(区)町村役場の窓口の対応に関する満足度では、市(区)町村役場の窓口の対応に不満の多い傾向がみられた。有効利用に今後必要と思われるものとして、行政の窓口担当者の知識向上、使用法の説明や訓練、アフターケアの充実に対する要望が多かった。<BR><B> 結論:</B>視覚補助具を有効利用するためには、個々のロービジョン者の眼の状態を考慮した選択に加え、使用法の説明や訓練の充実、行政の窓口担当者の知識向上が必要と考えられた。