著者
坂田 由紀子 新保 慎一郎
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.890-896, 2003 (Released:2014-12-10)
参考文献数
23

目的 第 1 報において我々は食生活,身体状況が排便回数や排便量に影響することを報告し,その詳細な検討には時系列的解析が必要であることを述べた。 今回は前報に次いで排便についての時系列的解析を行い,排便量と摂取栄養素や摂取食品,運動量などとの相互関係,排便の日間変動に関係する要因についての検討を試みた。方法 21~22歳健常女子 4 名のそれぞれ30日間連続で 2 回調査した 8 群のデータを用いた。1 日の排便回数,1 回の排便量,自由摂取による食事量,摂取食品等の資料をもとに,測定量の規格化をおこなった。すなわち,各時系列間の比較は,群毎に計測値を平均値からの差として表し,振幅で規格化した相対量を用いた。自己相関係数,各系列間の相互相関,成分周期から時系列の性質を検討した。結果 データの時系列的解析から各データ群の排便量には,3~4 日の周期で日間変動があり,各変動の相同性の高い領域は,相関係数0.7以上であった。 排便量と運動量,食事摂取量との関係は,前前日の「食物総量」が高い相関を示し,ついで「総食物繊維量」,「水分総量」の順であった。「脂質摂取量」,「歩数」の相関は低値であった。 食品群別摂取量の比較では,「野菜類」,「果実類」,「穀類」,「いも及びでん粉類」の順に相関を示した。