- 著者
-
新森 加奈子
木村 琢磨
松村 真司
- 出版者
- 一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
- 雑誌
- 日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.1, pp.18-23, 2018-03-20 (Released:2018-03-23)
- 参考文献数
- 21
- 被引用文献数
-
1
近年,我が国では患者の“ケア移行”(患者が医療サービスを受ける医療機関や療養の場を移行し,ケア提供者が変わること)が増加しているが,我が国では「ケア移行という概念」や「ケア移行に伴う望ましくない患者アウトカム」について不明な現状である.我が国において「ケア移行」について考慮する際には,患者背景(年齢,基礎疾患,介護力),やりとりされる臨床情報,臨床情報をやりとりするツール,を考慮する必要がある.欧米では「病院を退院した患者の診療所外来へのケア移行」の際に,「薬物に関する有害事象」「入院中の検査結果が確認されない」「患者に予定されていた診療方針が実行されない」などの望ましくない患者アウトカムが退院患者の19%から50%で発生しているという.今後,我が国でも,ケア移行の現状把握がなされ,我が国の医療システムをふまえた対策について検討される必要がある.