著者
磯部 澄枝 諸岡 歩 焔硝岩 政樹 富川 正恵 新田 和美 齋藤 芸路 澁谷 いづみ
出版者
公益社団法人 日本栄養士会
雑誌
日本栄養士会雑誌 (ISSN:00136492)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.501-509, 2020 (Released:2020-09-01)
参考文献数
9

本研究は、地域包括ケアシステムの推進における行政管理栄養士の役割を明らかにするため、都道府県本庁、保健所および市町村の管理栄養士等を対象に、管理栄養士配置状況、地域包括ケアシステムへの関与状況等を把握する悉皆調査を実施した。介護保険・高齢福祉部門に管理栄養士を配置している都道府県および市町村は少なく、地域包括ケアシステムの推進に取り組んでいる都道府県本庁は7(15.9%)、保健所は24(8.0%)、市町村は190(19.9%)であった。保健所は医療・介護連携支援ツール作成、社会資源把握、管理栄養士・栄養士の育成と確保、食環境整備等を行っており、市町村はケース対応、教室の企画・運営、普及啓発、医療と連携した栄養食事指導体制の構築等を行っていた。市町村が保健所管理栄養士に期待することは、情報発信、リーダーシップ、組織体制整備等であった。地域包括ケアシステムの充実を目指すため、市町村管理栄養士は介護予防事業と保健事業を連動させた取り組みに積極的に関わることが望まれる。また、保健所管理栄養士は調整能力とリーダーシップを発揮し、栄養・食生活課題の見える化、地域栄養ケア拠点の整備、社会資源の活用、栄養・食生活改善に関する人材育成を行う必要があることが示唆された。